日本人の原発性乳癌患者を対象としたBMIと転帰の相関についてのレトロスペクティブな解析から、ホルモン受容体陽性の患者でBMIが全生存率に影響していることがわかった。日本人のホルモン受容体陽性乳癌患者では、肥満がDFSとOSの危険因子となると考えられた。12月6日から10日まで米国サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で、愛知県がんセンター中央病院乳腺科の権藤なおみ氏が発表した。

 閉経後乳癌患者において、肥満が初期治療施行後の予後因子の一つである可能性が報告されている。ただし、アジアと欧米では肥満の女性が占める割合が大きく異なり、アジア人の乳癌患者を対象としたBMIと術後の予後の関連についての報告は少ない。
 
 権藤氏らは、日本人乳癌患者におけるBMIと初期治療施行後の転帰の関連について、レトロスペクティブな解析を行った。
 
 2003年1月から2006年1月までに同院で原発性乳癌の手術を行った1100人について、臨床データとして身長、体重、BMI、ERおよびHER2の状態、転帰をレビューした。
 
 追跡期間中央値は59カ月だった。BMIにより、患者をやせ型(18.5kg/m2未満)、普通(18.5〜24.9kg/m2)、軽度肥満(25〜29.9kg/m2)、高度肥満(30kg/m2以上)の4群に分類した。BMIと無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)の相関について、Cox比例ハザードモデルを用いて統計学的な解析を行った。
 
 その結果、やせ型88人(8%)、普通785人(71.3%)、軽度肥満192人(17.5%)、高度肥満35人(3.2%)となった。欧米の高度肥満患者の割合(約25〜30%)と比較して、日本人患者では高度肥満は少なかった。やせ型、普通、軽度肥満、高度肥満の各群でER陽性の患者が占める割合はそれぞれ80%、59%、83%、80%、HER2陽性の患者が占める割合はそれぞれ11%、18%、13%、14%だった。
 
 局所再発と遠隔転移は126人(11.5%)に発生し、66人(6%)が死亡した。このうち乳癌の再発による死亡は54人だった。
 
 多変量解析では、普通の患者と比較して、高度肥満の患者でDFSとOSのハザード比(HR)が高い傾向がみられた。特にER陽性、PR陽性、またはその両方が陽性の高度肥満の患者で有意にHRが高く、DFSでは2.90(95%信頼区間:1.15〜7.30、p=0.024)、OSでは7.05(95%信頼区間:2.38〜20.8、p<0.001)となった。これに対しホルモン受容体陰性の患者では、DFS、OSともに有意差はみられなかった。
 
 これは日本人の乳癌患者で肥満と臨床転帰の相関を検討した初の報告となった。権藤氏は「さらに大規模なコホートで検討する必要がある」としている。