HER2陽性局所再発・転移乳癌で化学療法未治療の患者のファーストライン治療として、トラスツズマブとドセタキセルの併用にベバシズマブを追加する有用性を検討する無作為化フェーズ3のAVEREL試験から、IRC(independent review committee)評価では無増悪生存期間(PFS)が有意に改善したことがわかった。12月6日から10日まで米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で、イタリアOspedale San RaffaeleのLuca Gianni氏が同試験の最初の結果を発表した。

 AVEREL試験では、HER2陽性局所再発・転移乳癌に対するベバシズマブの効果が初めて評価された。
 
 同試験では、HER2陽性局所再発・転移乳癌で、中枢神経系への転移がなく、疾患の進行(PD)に対する化学療法の治療歴がない患者を対象とした。患者の層別化は、術前・術後の化学療法におけるタキサン系抗癌剤の使用、トラスツズマブによる術後化学療法、ホルモン受容体の状態、測定可能な病変の有無で行った。
 
 トラスツズマブ8mg/kg(初回投与量、2回目以降は6mg/kg)とドセタキセル100mg/m2を3週毎に投与する群(H+DOC群)と、トラスツズマブとドセタキセルとベバシズマブ15mg/kgを3週毎に投与する群(H+DOC+BEV群)に、患者を無作為に割り付けた。トラスツズマブとベバシズマブはPDまで、ドセタキセルはPDまたは受容不能な毒性が発現するまで投与することとした。
 
 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、副次的評価項目は有効性(全生存期間[OS]、奏効率、奏効期間、治療成功期間)、安全性、QOLとした。
 
 2006年9月から2010年2月までに424人が登録され、H+DOC群208人(年齢中央値55歳)、H+DOC+BEV群216人(同53歳)となった。患者背景は両群でほぼ同様で、無再発生存期間(DFS)が12カ月未満の患者は両群とも43%、内臓転移を認める患者はH+DOC群71%、H+DOC+BEV群77%、術後化学療法でトラスツズマブの投与を受けた患者はそれぞれ12%と13%だった。
 
 追跡期間中央値はH+DOC群25.8カ月、H+DOC+BEV群26カ月だった。試験担当医師の判定によるPFS中央値(非層別化解析)は、H+DOC群13.7カ月、H+DOC+BEV群16.5カ月、ハザード比は0.82(95%信頼区間:0.65〜1.02)で、トラスツズマブの追加により進行や死亡のリスクが18%減少したが、有意差はなかった(p=0.0775)。
 
 一方、IRC評価によるPFS中央値(層別化解析)は、H+DOC群13.9カ月、H+DOC+BEV群16.8カ月、ハザード比は0.72(95%信頼区間:0.54〜0.92)となり、ベバシズマブの追加により進行や死亡のリスクは28%と有意に減少した(p=0.0162)。
 
 IRC評価による奏効率は、部分奏効がH+DOC群で65.9%、H+DOC+BEV群で76.5%となり、ベバシズマブを追加する効果が示された(p=0.0265)。
 
 中間解析ではOSは未到達で、H+DOC群38.3カ月、H+DOC+BEV群38.5カ月で、層別化解析によるハザード比は0.94(95%信頼区間:0.68〜1.30)だった(p=0.7078)。
 
 安全性に新たな徴候はみられなかった。グレード3以上の心臓の事象の発現は、H+DOC群と比較してH+DOC+BEV群で多く、それぞれ2.9%と5.1%だった。有熱性の好中球減少は8.7%と11.6%、高血圧は0.5%と11.6%だった。グレード5の有害事象はH+DOC群1.4%、H+DOC+BEV群1.9%に発現した。
 
 AVEREL試験では血漿中のVEGF-Aの探索的な解析も行われ、効果を予測する可能性が検討されている。Gianni氏は「抗血管新生薬の追加で有用性が得られる患者のサブセットについて、追求する必要がある」と話した。