早期乳癌患者を対象としたTEAM(Tamoxifen Exemestane Adjuvant Multinational)試験のドイツ人コホートの解析が行われ、関節痛や筋肉痛と更年期症状が報告された患者では、これらの症状が報告されなかった患者と比較して、無病生存率(DFS)と全生存率(OS)が有意に延長することがわかった。DFSの延長は、エキセメスタンを5年間投与してこれらの症状を経験した患者で認められた。結果は、12月6日から10日まで米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で、ドイツUniversity Hospital of Giessen and MarburgのPeyman Hadji 氏が発表した。

 TEAM試験は、閉経後のホルモン受容体陽性早期乳癌患者を対象に、術後補助療法として、タモキシフェン(20mg)を約2.5〜3年投与後にエキセメスタン(25mg/日)に切り替えて計5年間の内分泌療法を行う群と、エキセメスタン(25mg/日)を5年間投与する群を比較した、フェーズ3の無作為化国際共同試験。日本を含む9カ国から9775人が登録され、両群で有効性に差はないことが報告されている。

 タモキシフェンまたはアロマターゼ阻害剤の投与中に発生する血管運動性や関節の症状と、臨床的な効果の相関が示唆されている。

 Hadji 氏らは、TEAM試験のドイツ人コホートをレトロスペクティブに解析し、エキセメスタンまたはタモキシフェンの投与中に発生する有害事象と臨床的な効果が相関する可能性を評価した。評価項目は、関節痛や筋肉痛、更年期症状を伴う場合と伴わない場合のDFSとOSだった。

 関節痛、筋肉痛、骨折、更年期症状(ホットフラッシュ、睡眠障害、不眠、興奮やうつなどの気分の変化など)を、投与開始直後は3カ月毎に評価し、その後は年1回以上の評価を行った。有害事象については、試験治療薬の初回投与後に悪化した場合のみ、効果と有害事象のデータを入手した。

 内分泌療法は術後14週以内に開始された。用量や投与スケジュールの変更は認められず、受容不能な毒性の発現や同意の撤回、再発などで試験担当医師が必要と判断した場合、試験治療薬の投与が中止された。患者は自宅で薬剤の投与記録を付け、各受診時に提示した。

 ドイツ人患者は1525人登録され、実際に投与が行われたのは、タモキシフェンからエキセメスタンに切り替える群(タモキシフェン群)の739人、エキセメスタン単剤の群(エキセメスタン群)の763人だった。ベースラインの関節痛や筋肉痛、更年期症状は、両群で同様だった。

 関節痛や筋肉痛とDFSの関係について、全対象では、これらの症状を経験しなかった患者と比較して、経験した患者でDFSが有意に延長した(P=0.0003)。タモキシフェン群では症状の有無による差はなく(p=0.2574)、エキセメスタン群では症状を経験した患者で有意に延長した(p=0.0001)。

 関節痛や筋肉痛とOSの関係について、全対象では、これらの症状を経験しなかった患者と比較して、経験した患者でOSが有意に延長した(p<0.0001)。タモキシフェン群、エキセメスタン群ともに、これらの症状を経験した患者で有意に延長した(p=0.0014、p=0.0018)。

 更年期症状とDFSの関係について、全対象では、症状を経験しなかった患者と比較して、経験した患者で有意に延長した(p=0.0110)。タモキシフェン群では症状の有無による差はなく(p=0.3012)、エキセメスタン群では症状を経験した患者で有意に延長した(p=0.0077)。

 更年期症状とOSの関係について、全対象では、症状を経験しなかった患者と比較して、経験した患者で有意に延長した(p<0.0001)。タモキシフェン群、エキセメスタン群ともに症状を経験した患者で有意に延長した(p=0.0019、p=0.0015)。

 Hadji 氏は、「エストロゲンのほぼ完全な遮断により、更年期症状や関節症状が増強した可能性があり、これらの症状は内分泌療法の効果に関連すると考えられるが、相関の背景にあるメカニズムをさらに検討する必要がある」と考察した。

 さらに治療に関連する有害事象の発現は、治療のアドヒアランス低下につながる可能性があるが、Hadji 氏は「今回の結果は患者を安心させ、治療継続を推奨するうえで役立つと考えられる」としている。