早期HER2過剰発現乳癌のアジュバントとしてラパチニブを投与することは、プラセボ群に比べて再発のリスクを17%減少させることが分かった。また中央検査室でHER2陽性が確認された患者、診断されてからの期間が1年以下の患者、ホルモン受容体陰性の患者で、無病生存期間(DFS)を有意に延長できることが明らかとなった。さらに、症候性の脳での再発をラパチニブは35%減少させることも示された。二重盲検プラセボ対照で、トラスツズマブの投与を受けたことがなく、化学療法を受けたことのあるHER2陽性乳癌患者の早期及び後期再発の抑制効果を評価するフェーズ3試験、TEACH試験で明らかとなったもの。

 成果は12月6日から10日に米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で、米Massachusetts General HospitalのP Goss氏によって発表された。

 HER2陽性早期乳癌の術後アジュバントにはトラスツズマブが使われるが、医学的理由、物流的理由からトラスツズマブの利用ができない患者がおり、ラパチニブへの期待がある。

 TEACH試験は、術前または術後にトラスツズマブを含まない化学療法を受けたHER2陽性ステージIからIIIc乳癌患者で、再発が見られていない患者を、1日1500mgのラパチニブを1年間投与する群とプラセボを1年間投与する群に1対1に割り付けた。層別化は診断からの時間、リンパ節とホルモン受容体の状態などで行われた。主要評価項目はDFSで、副次評価項目は全生存期間(OS)、無再発生存期間、中枢神経系における再発率、毒性、QOLだった。

 最初の診断からの期間中央値が2.7年(ラパチニブ群0.3〜21.2年、プラセボ群0.2〜14.9年)の患者3147人(治療を受けなかった14人除く)を、ラパチニブ群1571人、プラセボ群1576人に無作為に割り付けた。観察期間中央値4年で、DFSに対するハザード比が0.83(95%信頼区間:0.70-1.00)、p=0.053と、統計的有意差は無かったものの、ラパチニブ投与によってリスクが17%減少した(イベント数はラパチニブ群210、プラセボ群264)。

 事前に計画されていたCox回帰サブグループ解析の結果、ホルモン受容体陰性患者(1288人)でラパチニブによる有意な効果が確認された。ハザード比は0.68(95%信頼区間:0.52-0.89)、p=0.006だった。また診断後1年以内に無作為化された647人でもラパチニブの有意な効果が認められた。ハザード比は0.70(95%信頼区間:0.50-0.99)だった。症候性の中枢神経系での再発はラパチニブ群12人、プラセボ群20人で、ラパチニブ群が遅くかつ少ない傾向にあった。ハザード比は0.65(95%信頼区間:0.33-1.28)だった。6%の患者(ラパチニブ群92人、プラセボ群97人)が死亡し、OSには差がついていないが、解析が早期のためとされた。

 登録基準では各施設におけるHER2検査陽性(FISH法または免疫組織染色法)だったが、中央検査施設でFISH法で調べたところ、2490人がHER2陽性と確認され、390人はHER2陰性、216人は評価不能だった。探索的解析として、中央検査施設で陽性と確認された2490人について調べたところ、DFSは有意にラパチニブ群で優れていた。ハザード比は0.82(95%信頼区間:0.67-1.00)、p=0.04だった。

 副作用はラパチニブ群の92%、プラセボ群の76%で発現し、多いものは下痢(ラパチニブ群61%、プラセボ群17%)、皮疹(ラパチニブ群60%、プラセボ群16%)だった。グレード3/4の副作用はラパチニブ群が23%、プラセボ群が8%で、ラパチニブ群で多かった。治療関連死は認められず、重篤な副作用はラパチニブ群6%、プラセボ群5%で同等だった。肝臓関連の副作用は主に肝酵素の上昇で、ラパチニブ群が8%、プラセボ群が3%と、ラパチニブ群で多かった。