定量的なHER2蛋白発現レベルと脳転移のリスクは強い関連性があることが、レトロスペクティブな解析で明らかになった。一方、FISH法による遺伝子増幅では脳転移リスクとの関連性は認められなかった。ポーランドMilitary Institute of MedicineのRenata Duchnowska氏らが、12月6日から10日に米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム2011で発表した。

 対象は免疫組織化学(IHC)で3+と判定されたHER2陽性転移性乳癌患者で、トラスツズマブをベースにした治療を受けた142人。HER2蛋白の測定には、ホルマリン固定したパラフィン包埋(FFPE) 組織を用いて、HER2定量分析「HERmark」によってHER2蛋白(H2T)発現レベルとして評価した。HER2/neu遺伝子コピー数はFISH法によってHER2/CEP17比として評価した。

 この結果、FISH陽性乳癌において、HERmarkはH2T発現レベルを30倍まで幅広く分析できることが示された。

 HERmarkによるH2T>17.8をH2T陽性と定義したところ、H2T陽性・陰性と脳転移までの時間(TTBM)は有意な関連性があった(ハザード比は5.6、p=0.007)。一方、FISH法によるHER2/CEP17比(>2、≦2)では関連性がなかった。また連続変数としたH2T発現レベルはTTBMと相関があった(ハザード比は2.3、p=0.013)が、連続変数としたHER2/CEP17比では相関がなかった。

 次にFISH陽性患者117人において、H2T発現レベル中央値で患者を2群に分けた結果、高値群の脳転移リスクは低値群に比べて有意に高かった(ハザード比は2.4、p=0.005)。またH2T発現レベル値(>50、≦50)で患者を2群に分けた場合も同様の結果だった(ハザード比は2.6、p=0.003)。しかしHER2/CEP17比では脳転移リスクとの関連性はなかった。

 以上の結果から、定量的なHER2蛋白発現レベルと脳転移のリスクは強い関連性があり、「HER2蛋白発現の定量的評価は脳転移リスクが高い患者の治療戦略を改善するだろう」と述べた。