PIK3CA遺伝子変異型が、HER2陽性転移性乳癌患者の全生存期間(OS)の悪化と有意に関連していること、PIK3CA遺伝子変異型患者にパクリタキセルとラパチニブを併用投与すると無増悪生存期間(PFS)の改善傾向が見られることが明らかとなった。さらにPTEN遺伝子の発現のない患者はラパチニブを加えることでOSが有意に改善すること、PFSはPTEN遺伝子の有無に関わらず、ラパチニブとパクリタキセルの併用で有意に改善することが分かった。患者に適した薬剤を選択するのに有用な分子を見つけるための探索的研究の結果、示されたもの。成果は12月6日から10日に米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で、中国Cancer Hospital, CAMS and PUMCのBring-he Xu氏らによって明らかとなった。

 探索的研究は、HER2陽性転移性乳癌患者でパクリタキセル単剤とラパチニブ・パクリタキセルの併用を比較したEGF104535試験の検体で、PIK3CAの変異およびPTENの欠失と効果との関係を調べることで行われた。EGF104535試験では、併用群が単剤群に比べて全生存期間(OS)中央値で7.3カ月の延長を示した。

 検体は原発巣、転移巣から得られたホルマリン固定、パラフィン包埋試料を用いた。全444人中389人でバイオマーカー解析ができる組織が得られた。PTENの発現の有無は免疫組織染色で、PIK3CAの変異は遺伝子解析キットで調べられた。

 解析の結果、PTENの発現の有無は予後予測因子ではなかった(p>0.47)。一方、PIK3CA変異はOSの悪化と有意に関連していた。PIK3CA変異型患者65人のOS中央値は15.0カ月、PIK3CA野生型患者106人のOS中央値は29.3カ月、ハザード比は1.87(95%信頼区間:1.22-2.88)、p=0.0011だった。PIK3CA変異型患者ではOSはパクリタキセル、ラパチニブ併用群とパクリタキセル単独群で差がないが、PFSは併用群で改善される傾向があった。PIK3CA野生型患者では、併用群が単独群に比べて、進行のリスクを有意に低減していた。ハザード比0.44(95%信頼区間:0.28-0.69)、p<0.0001だった。しかしOSについては有意ではなかった(p>0.7)。

 PTEN欠失群、PTEN非欠失群ともに、PFSはパクリタキセル、ラパチニブ併用群がパクリタキセル単独群よりも有意に改善していた(p<0.05)。

 PIK3CA変異がある患者の奏効率は併用群が62%、単独群が50%で差がなく、変異がない患者の奏効率は併用群が80%、単独群が59%で有意な差があった。PTEN欠失がある患者の奏効率は併用群が73%、単独群が53%、欠失がない患者の奏効率は併用群が76%、単独群が58%でどちらも有意な差があった。