ホルモン受容体(ER/PgR)陽性の進行乳癌に対し、エキセメスタンダサチニブの併用はエキセメスタンとプラセボ併用に比べ、奏効率は高いが、無増悪生存期間(PFS)には有意な差がないことが無作為化二重盲検フェーズ2試験で示された。スペインHospital Universitari Arnau De VilanovaのAntonio Llombart氏らが、12月6日から10日に米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム2011で発表した。

 ダサチニブは、5種類のチロシンキナーゼ/キナーゼファミリー(BCR-ABL、SRCファミリーキナーゼ、c-KIT、EPHA2受容体およびPDGFβ受容体)に対するATPの結合を競合的に阻害する作用がある経口剤。SRC(ステロイド受容体活性化補助因子)ファミリーキナーゼは、エストロゲン受容体(ER)やプロゲステロン受容体(PgR)のシグナル伝達経路に関与し、SRCファミリーキナーゼの活性が乳癌細胞の増殖や浸潤、転移に重要な役割を果たすと言われている。

 試験は、非ステロイド系アロマターゼ阻害剤による治療で進行した、ホルモン受容体(ER/PgR)陽性進行乳癌患者157人を対象に、エキセメスタン(25mg/日)とダサチニブ(100mg/日)もしくはプラセボを投与した。主要評価項目はPFSで、副次評価項目は臨床的利益率(PR+24週以上のSD)、安全性、バイオマーカー測定とした。

 すべての患者が試験に登録して6カ月以上経った時点で解析した結果、PFS中央値はダサチニブ群で22週(95%信頼区間:15-24)、プラセボ群が16週(同:12-18週)で、有意な違いはなかった(ハザード比は0.85、片側検定p=0.163)。

 症候性骨転移のある患者は全患者の40%で、ダサチニブ群のPFS中央値は15.7週、プラセボ群は13週だった(ハザード比は0.61)。一方、症候性骨転移がない患者のPFSはダサチニブ群が22.9週、プラセボ群が17.6カ月だった(ハザード比は0.98)。

 奏効率はダサチニブ群が12%、プラセボ群が2%で、臨床的利益率はダサチニブ群が36%、プラセボ群が22%だった。

 重篤な有害事象はダサチニブ群が13%、プラセボ群が4%。グレード3以上の有害事象は、ダサチニブ群が33%、プラセボ群が11%で、呼吸器障害がダサチニブ群で11%、プラセボ群は0%だった。病勢進行以外の投与中止がダサチニブ群は29%、プラセボ群が7%であった。またダサチニブもしくはプラセボの相対的用量強度(RDI)が85%以下となった患者がダサチニブ群で28%、プラセボ群は7%だった。

 ダサチニブ群で有害事象が多いことから、研究グループは「この試験において、エキセメスタンにダサチニブを追加しても、臨床的ベネフィットの増加は認められない」と述べた。