閉経後ホルモン受容体陽性転移性乳癌で非ステロイド系のアロマターゼ阻害剤による治療歴がある患者を対象とした無作為化フェーズ2試験において、フルベストラントダサチニブの併用は忍容性が良好だったものの、フルベストラント単剤と比べて無増悪生存期間(PFS)、臨床的有効率(CBR:部分奏効+6カ月以上の安定状態)、全生存期間(OS)を改善しなかった。結果は、12月6日から10日まで米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で、米US Oncology ResearchのGail L Wright氏が発表した。

 フルベストラントは、非ステロイド系のアロマターゼ阻害剤に抵抗性となった閉経後ER陽性転移性乳癌患者に有効である。またダサチニブは、内分泌療法抵抗性と後期の骨転移に関連するSRCチロシンキナーゼ活性に対するATP競合阻害薬である。

 Wright氏らは、転移性乳癌患者に対し、フルベストラント単剤と比べてダサチニブをフルベストラントに追加することでPFSを延長できるか否かを検討した。

 対象は、評価または測定が可能なER陽性、HER2陰性の転移性乳癌で、術後補助療法または転移に対する治療で非ステロイド系アロマターゼ阻害剤を使用中に進行した患者とした。転移に対する化学療法は1レジメンまでとし、術前・術後の化学療法は可とした。

 患者を乳癌の初回診断から転移の初回診断までの期間が2年以下の場合と2年を超える場合とで層別化し、2008年11月の時点ではフルベストラント500mgを1日目、250mgを15日目に筋注し、ダサチニブ100mgを1〜28日目まで毎日経口投与する群(F+D群)と、フルベストラント250mgの筋注のみを1日目と15日目に行う群(F群)に無作為に割り付けた。2010年のFDAによるフルベストラント500mgの承認後は、全例に500mgの投与を28日毎に行った。F群で進行した場合はF+D群へのクロスオーバーを可とした。
 
 本試験の主要目的はPFS中央値、副次的目的はOS、奏効率、臨床的有効率(CBR)、安全性だった。
 
 計99人が登録され、このうち40人が2010年10月以降にフルベストラント500mgの投与を受けた。F+D群50人(年齢中央値61歳)、F群49人(同61歳)となった。
 
 F+D群のPFS中央値は5.6カ月、OSは21カ月、CBRは38%(95%CI:25〜53%)となった。これに対しF群ではそれぞれ5.3カ月、22カ月、43%(95%CI:29〜58%)だった。奏効率はF+D群で2%、F群で6%だった。無再発期間(DFI)が2年以下の患者では、PFSの中央値はF+D群5.3カ月、F群2.2カ月となり、併用の有用性が高いと考えられた。
 
 安全性については、F+D群で26%、F群で12%にグレード1から3の胸水が発現した。グレード1から3の下痢、嘔気、疲労感は、F+D群でそれぞれ36%、40%、30%に、F群では10%、12%、22%に発現した。F+D群では7人が有害事象のためにダサチニブを中止し、主な原因は胸水と呼吸困難だった。
 
 F群の20人(41%)に進行がみられ、F+Dにクロスオーバーした。クロスオーバーした患者のPFS中央値は4カ月だった。
 
 Wright氏は、ダサチニブの有用性との相関を評価するため、ホルマリン固定パラフィン包埋サンプルの乳癌組織について、SRCに関連する特徴の解析を進めていると話した。