閉経前ホルモン受容体陽性早期乳癌の患者を対象としたフェーズ3のABCSG(Austrian Breast &Colorectal Cancer Study Group)-12試験の84カ月の追跡結果から、術後内分泌療法とゾレドロン酸の併用により、再発のリスクは28%、死亡のリスクは37%減少することが示された。この結果は12月6日から10日まで米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で発表され、オーストリアMedical University of ViennaのMichael Gnant氏は、「閉経前のホルモン受容体陽性早期乳癌患者には、術後内分泌療法にゾレドロン酸を追加することを考慮すべき」と話した。

 ABCSG-12試験は多施設共同・非盲検のフェーズ3臨床試験で、早期乳癌術後患者に対するゾレドロン酸の使用が検討されている。対象は、I期またはII期の閉経前ホルモン受容体陽性乳癌で、術前化学療法以外に化学療法の治療歴がない患者。1999年から2006年までに1803人(年齢中央値45歳)が登録された。
 
 患者は術後に卵巣機能抑制のためゴセレリン3.6mgの投与を28日毎に受け、タモキシフェン(20mg/日)群、アナストロゾール(1mg/日)群、タモキシフェン+ゾレドロン酸(4mg、6カ月毎)群、アナストロゾール+ゾレドロン酸群の4群に無作為に割り付けられた。対象数はそれぞれ450人、450人、453人、450人となった。治療期間は3年間だった。
 
 2008年の初回報告では、追跡期間60カ月(中央値)の解析において、主要評価項目の無病生存(DFS)は内分泌療法単独群と比較してゾレドロン酸の併用群で有意に改善したことが報告された。

 今回は追跡期間84カ月(中央値)の解析結果が報告された。データのカットオフ日は2011年6月29日で、初回のDFSイベントは230件、死亡は82件発生した。

 治療終了から4年以上が経過した84カ月時点のDFSについて、ゾレドロン酸の非併用群に対する併用群のハザード比(HR)は0.72 となった(p=0.014)。DFSイベントリスク、すなわち再発のリスクが28%減少したことが示された。この値は、閉経後の患者のサブグループ解析が行われたAZURE試験の結果(24%)と同等だった。
 
 ゾレドロン酸併用群のDFSの有意な改善は継続的にみられ、追跡期間48カ月はHR 0.74(p=0.01)、62カ月はHR 0.68(p=0.008)、76カ月はHR 0.73(p=0.02)だった。
 
 一方、タモキシフェン群とアナストロゾール群では、DFSの有意な改善は認められなかった。
 
 さらにDFSについて、40歳を超える患者(1390人)と40歳未満の患者(413人)において、サブグループ解析を行った。完全な卵巣機能抑制が推定される40歳を超える患者では、ゾレドロン酸の併用によりDFSイベントリスクは34%減少した(HR =0.66、p=0.013)が、40歳未満の患者では13%(HR=0.87、p=0.525)にとどまった。

 全生存率(OS)も良好な結果となった。全対象の3年、5年、7年のOSはそれぞれ99.1%、95.7%、95.5%だった。ゾレドロン酸の非併用群に対する併用群のOSはHR 0.63となった(p=0.049)。死亡のリスクが併用群で37%減少したことが示された。またDFSと同様に、40歳を超える患者でゾレドロン酸の併用により死亡のリスクは有意に減少した(HR 0.57、p=0.042)。

 有害事象として、骨痛がゾレドロン酸の併用群で多く発現した。ゾレドロン酸の3年間の投与は終了しており、これまでの観察期間に顎骨壊死や腎不全などの報告はない。

 Gnant氏は「エストロゲンを最大限遮断できた患者で抗腫瘍効果が大きくなることが示唆された。また、骨を標的とした治療が骨の微小環境を変化させ、癌幹細胞に影響を与えている可能性がある」と考察した。