今年のサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS 2010)に参加して一番感じたことは、臨床試験というもの自体の考え方が、今回のSABCS 2010の発表を契機に、変わるのではないかということです。

 抗HER2療法フェーズ3試験のパラダイムシフト 臨床試験は元来、フェーズ3試験をして標準治療をつくることが目的でした。Aというそれまでの標準治療とBという治療を比べて、Bが勝ったらBが標準治療になり、Aが勝ったらAが標準治療として引き続き使われることになります。抗HER2 療法で言えば、HERA試験で、術後補助療法として標準治療の化学療法にトラスツズマブを加えるか、加えないかを比較しました。その結果、化学療法にトラスツズマブを加えた群が勝って、それが標準治療になったわけです。

 ところが今年のSABCSでの抗HER2療法の試験を見てみますと、勝ったほうが生き残るというフェーズ3試験のあり方はもう終わったなと思いました。分子標的薬というもの自体がテーラーメードメディシンあるいは個別化医療と言われますが、それをさらに個別化するために臨床試験があるのではないかと思うのです。つまり、勝ち負けで見ていた臨床試験から、個別化医療を拓く臨床試験へとパラダイムシフトが起きているのではないかと思います。そういう目で、抗HER2療法の試験を解釈してみようと思います。

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