国内で消化管の悪性腫瘍に用いられているイリノテカンS-1の併用療法(IRIS療法)は、進行または転移性の乳癌でアントラサイクリンやタキサンで前治療を受けている患者において、忍容性は良好で有効なことがパイロットスタディで示された。12月8日から12日まで米国サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で、社会保険久留米第一病院の田中真紀氏が発表した。

 田中氏らは、進行または転移性の乳癌を対象とするIRIS療法のパイロットスタディを実施、最初にIRIS療法の安全性を確認し、安全性プロファイルが受容可能と判断された場合に奏効を評価した。

 イリノテカンは65〜80mg/m2を1日目と8日目に静脈内投与し、S-1は体表面積により80〜120mg/日を14日間、経口投与した。この治療を3週毎に6サイクル以上繰り返し、受容不能な毒性の発現または進行を認めるまで継続することとした。

 2007年2月から2010年1月までに、計22人が登録された。うち7人はトリプルネガティブの患者だった。転移部位は肝臓が最も多く11人、肺10人、局所8人、骨7人がこれに次いだ。前治療として、アントラサイクリン、タキサン、シクロホスファミドの投与を各19人が受けていた。

 安全性の評価は6人(年齢中央値49.5歳)で行い、毒性のプロファイルは受容可能と判断された。続く奏効の評価は、16人(同54歳)に安全性の評価を行った3人を加え、計19人で行った。

 その結果、完全奏効(CR)は0%、部分奏効(PR)は5人(26.3%)、安定状態(SD)は6人(31.6%)となった。奏効率は26.3%、病勢コントロール率は57.9%だった。

 PRを認めた5人の無増悪生存期間(PFS)の中央値は133日となった。OSの中央値は996日だった。

 有害事象として、グレード3または4の好中球減少が22人中12人(54.5%)、疲労感が2人(9.1%)、下痢が3人(13.6%)に発現した。

 田中氏は「イリノテカンとS-1の併用療法は日本ではすでに消化管の悪性腫瘍に使用され、忍容性が高いことがわかっている。乳癌細胞で高度にチミジル酸シンターゼを発現している場合でも相加的な効果が期待できる」と話した。