HER2陰性の転移性乳癌患者に、S-1 80mg/m2の2週投与2週休薬とパクリタキセル80mg/m2の毎週投与の併用療法は安全に施行でき、効果も期待できることが、フェーズ1試験で明らかになった。静岡がんセンター女性内科の渡邉純一郎氏らが、12月8日から12日に開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で発表した。

 フェーズ1試験は、HER2陰性で、タキサン系抗癌剤およびFU系抗癌剤による治療歴のない転移性乳癌患者を対象とした。なお試験登録6カ月前までに術後補助療法が終了している患者は含まれた。

 パクリタキセルは第1日、第8日、第15日に投与した。S-1は第1日から第14日に投与し、その後、2週間休薬した。用量によって4つのレベルに分けられた。S-1用量はレベル0から2が65mg/m2、レベル3が80mg/m2で、パクリタキセルはレベル0が60mg/m2、レベル1が70mg/m2、レベル2から3が80mg/m2とした。

 用量制限毒性(DLT)は、グレード4の好中球減少もしくは白血球減少、グレード3以上の発熱性好中球減少、グレード3以上の血小板減少、グレード3以上の非血液毒性、パクリタキセルの投与中止、S-1の7日を超えた投与中断、2コースめでの7日を超えた投与開始遅延とされた。

 試験には10人が登録し、9人は2コース以上の治療を受けた。患者の年齢中央値は49.5歳、ホルモン受容体陽性が6人、陰性が4人。化学療法による治療歴がない患者が7人、1レジメンの治療歴がある患者は2人、2レジメンは1人だった。

 DLTは認められなかった。またグレード3以上の有害事象はなかった。グレード2の有害事象は、レベル1(3人)では好中球減少が1人、白血球減少が2人、レベル2(3人)では好中球減少が2人、白血球減少が2人、貧血が1人で認められた。レベル3(3人)では好中球減少が1人、白血球減少が1人、貧血が1人、さらに高血糖が1人、末梢感覚神経障害が1人に認められたが、いずれも管理可能であった。

 効果判定できた8人のうち、部分奏効(PR)は5人、病勢安定(SD)が2人であった。レベル別ではレベル1ではPRが2人、SDが1人で、奏効率は66.6%、レベル2ではPRが1人、SDが1人、PDが1人で、奏効率は33.3%、レベル3ではPRが2人で、奏効率は100%となった。

 この結果から、推奨用量はS-1が80mg/m2、パクリタキセル80mg/m2と決定された。「S-1とパクリタキセルの併用療法は忍容性に優れ、印象として、HER2陰性乳癌に対して効果があるだろう」と渡邉氏は述べた。また今年7月に乳癌治療薬として承認された、パクリタキセル注射液〔アルブミン懸濁型〕(商品名アブラキサン)とS-1とのフェーズ1試験が進行中で、この併用療法も期待できるとした。