エストロゲン受容体(ER)陽性の閉経後乳癌で、アロマターゼ阻害剤(AI)であるエキセメスタンレトロゾールアナストロゾールによる術前補助療法の効果は、臨床的にも生物学的にも同等であることが確認された。また、乳癌サブタイプの1つであるluminal Aは予後が良好で、化学療法ではなくAI剤単独でも十分な効果が期待できることが、多施設共同無作為化フェーズ2試験(ACOSOG Z1031)で明らかになった。Washington UniversityのMatthew Ellis氏らが、12月8日から12日に開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で発表した。

 対象は、ER陽性(ERの Allredスコアが6-8点)、臨床病期2/3の閉経後乳癌患者374人。術前に、エキセメスタン25mg/日、レトロゾール2.5mg/日、アナストロゾール1mg/日のいずれかを16週間投与した。

 これまでに、奏効率はエキセメスタンが60.5%、レトロゾールは72.4%、アナストロゾールでは68.3%で、3剤に有意差はなかったと報告されている。またAI剤による術前補助療法後に乳房温存術が施行された割合は3剤とも60%を上回っていた。

 今回の解析で、細胞の増殖活性を示すKi67の手術試料における発現は、治療群による違いはなかった(p=0.45)。また腫瘍径とリンパ節転移個数、Ki67レベル、ER Allredスコアで点数化される予後予測指数PEPI(preoperative endocrine prognostic index)も、治療群で違いはなかった。

 50の遺伝子を用いたPAM50定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)によって、乳癌サブタイプ (intrinsic subtype)に分類したところ、奏効率はluminal Aよりもluminal B のほうが高かった。乳房温存術が施行された割合はluminal A とluminal B でほぼ同程度であった。

 Ki67発現は、luminal Aでもluminal Bでも、試験開始時に比べてAI剤投与後の手術時のほうが低下していた。またluminal Aとluminal Bを比べると、試験開始時も手術時も、Ki67発現はluminal Bのほうが高かった(p<0.0001、p=0.001)。

 PEPIが0点となる患者の割合は、luminal A(85人)では27.1%だが、luminal B(121人)は10.7%と有意に低く(p=0.004)、luminal Aのほうが予後は良好であることが示唆された。

 また試験開始時のKi67レベルが10%以下の患者(50人)のうち、PEPIが0点となる患者の割合は28.0%、それに対してKi67レベルが10%超の患者(135人)では12.6%だった(p=0.018)。

 これらの結果から、「luminal AはPEPIが0点になる患者が多く、PEPIが0点の場合はAI剤単独でも十分な治療が可能であろう」とした。患者の3分の1は化学療法は不要と考えられることから、今後予定されている化学療法とAI剤による術前補助療法の比較試験には、luminal Aは適さない可能性があるとした。