HER2の発現が低い進行乳癌に対し、三機能性の抗体ertumaxomabは安定状態(SD)となる割合が高く、忍容性も良好であることが、フェーズ2試験から示された。12月8日から12日まで米国サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で、ベルギーJules Bordet InstituteのF. Cardoso氏が発表した。

 ertumaxomabは、HER2とCD3を標的とするとともに、補助細胞上のFcγを活性化する。フェーズ1試験では、進行乳癌でHER2の発現が高い患者と低い患者のいずれにおいても有望な有効性が認められた。

 Cardoso氏らは、オープンラベルでertumaxomab単剤のフェーズ2試験を行い、有効性を検討した。

 対象は27人で、エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体のいずれか、または両方が陽性の進行乳癌で、HER2の発現が低く、ホルモン療法施行後に進行した患者とし、進行に対しては未治療であることとした。

 ertumaxomabは週1回、3時間かけて静脈内投与し、0日目に10μg、7日目に100μg、14日目に100μgを投与した。対象者全員が3回の投与を受けた。

 主要評価項目はRECIST基準による奏効率とした。奏効の評価は最終投与から4週後と8週後に行い、その後は2〜3カ月毎に進行まで行った。

 評価可能な26人に完全奏効(CR)は認められなかった。1人は3回目のフォローアップ時に部分奏効(PR)となったが、その後のデータが得られず未確認だった。14人(53.8%)は2回目のフォローアップ時(42日目)にSDとなり、8人(30.8%)は3回目のフォローアップ時(70日)もSDだった。1人は10カ月を過ぎてもSDが維持されていた。

 TTPの中央値は65.5日(95%CI:43〜98)だった。

 安全性の評価は27人を対象に行われた。ertumaxomab の1回目の投与(10μg)後は14人(51.9%)、3回目の投与(100μg)後は25人(92.6%)が治療関連毒性を1回以上経験した。

 有害事象の発現は2回目と3回目の投与の間に多く発現したが(42.1%)、3回目の投与後は減少した(30.3%)。多くは軽度または中等度で、73.8%は1日以内に消失した。頻度が高かったのは、発熱(74.1%)、頭痛(40.7%)、悪寒(33.3%)、嘔吐(29.6%)などだった。

 ertumaxomabの安全性と忍容性は、HER2の発現が低い患者においても過去の報告と同様であった。有害事象の多くはertumaxomabの作用機序であるサイトカインの放出によるものと考えられ、強い免疫反応が起こっていることが示唆される。薬理学的データでも、サイトカインの放出は2回目の投与後に最高となることが示された。

 Cardoso氏は「今後、単剤または併用の至適用量の検討や、HER2陽性患者での検証も必要」としている。