HER2陽性転移性乳癌で、ラパチニブとパクリタキセルによる併用療法はパクリタキセル単独に比べて全生存期間を7.3カ月延長し、死亡リスクは26%低下することが、アジア太平洋地域で行われた無作為化フェーズ3試験(EGF104535)で明らかになった。中国Sun Yat-Sen University Cancer CenterのGuan Zhong-zhen氏らが、12月8日から12日に開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で発表した。

 ラパチニブはHER1、HER2を標的とするチロシンキナーゼ阻害剤。ラパチニブとカペシタビンの併用、あるいはラパチニブとレトロゾールの併用で有効性が報告されている。

 このフェーズ3試験では、HER2陽性転移性乳癌患者を対象に、ラパチニブとパクリタキセルの併用とプラセボとパクリタキセルの併用が比較された。中国、タイ、ロシア、ブラジル、ペルー、パキスタン、香港、ウクライナの8カ国から444人が登録された。

 ラパチニブは1500mg/日を連日投与した。パクリタキセルは4週毎に80mg/m2の毎週投与を3回行い、これを6サイクル続けた。パクリタキセル群で病勢進行(PD)が認められたときは、ラパチニブに切り替えた。

 主要評価項目は全生存期間(OS)で、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効率、臨床的有用率(CR+PR+SD>24週)、奏効期間、安全性とした。

 ラパチニブ+パクリタキセル群(222人)の患者年齢中央値は50.0歳、パクリタキセル群(222人)は50.5歳で、アジア人の割合は両群とも86%、ヒスパニック系がラパチニブ+パクリタキセル群は9%、パクリタキセル群は7%で、白人はそれぞれ4%、6%だった。診断からの期間はそれぞれ25.7カ月、23.6カ月で、化学療法による治療歴のある患者は72%、78%、術後補助療法は66%、73%、ホルモン療法は24%、20%だった。

 ラパチニブ+パクリタキセル群では、OS中央値が27.8カ月(95%信頼区間:23.2-32.2)、パクリタキセル群は20.5カ月(17.9-24.3)で、ハザード比が0.74(0.58-0.94)、p=0.0124だった。

 PFS中央値もラパチニブとパクリタキセルの併用で有意に改善し、ラパチニブ+パクリタキセル群は9.7カ月(95%信頼区間:9.2-11.1)、パクリタキセル群は6.5カ月(5.5-7.3)、ハザード比は0.52(0.42-0.64)、p<0.0001だった。

 奏効率はラパチニブ+パクリタキセル群で69%、パクリタキセル群で50%(p<0.0001)、臨床的有用率はそれぞれ75%、56%(p<0.0001)、奏効期間は9.3カ月、5.8カ月であった。

 主な有害事象は、下痢、好中球減少、皮疹、白血球減少、脱毛、食欲不振、悪心、貧血、倦怠感、嘔吐で、重篤な有害事象(SAE)は好中球減少がラパチニブ+パクリタキセル群で16%、パクリタキセル群で5%、左室駆出率の低下がそれぞれ6%、1%、下痢が5%、0%だった。なおラパチニブ+パクリタキセル群では致死的なSAEはなかったが、パクリタキセル群では8人が死亡した。また有害事象による治療中止はラパチニブ+パクリタキセル群で13%、パクリタキセル群で10%だった。