HER2陽性乳癌患者で、ラパチニブトラスツズマブパクリタキセルを併用した術前治療は、ラパチニブもしくはトラスツズマブとパクリタキセルによる術前治療よりも、病理学的完全奏効率が高いことが、国際共同無作為化オープンラベルフェーズ3試験のNeoALTTO試験で明らかになった。なお毒性は3剤併用で強かったが、管理可能だった。この成果は、米Massachusetts General Hospital Cancer CenterのJose Baselga氏らが、12月8日から12日に開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で発表した。

 NeoALTTO(Neo-Adjuvant Lapatinib and/or Trastuzumab Treatment Organisation study)は、HER2陽性、手術可能な浸潤性乳癌で、腫瘍径は2cm超、転移がない乳癌患者(炎症性乳癌を除く)を対象とした。術前療法として、ラパチニブとパクリタキセルの併用(L群)、トラスツズマブとパクリタキセルの併用(T群)、ラパチニブとトラスツズマブ、パクリタキセルの併用(L+T群)を比較した。試験には2008年1月から455人が登録した。

 L群にはラパチニブ1500mg/日を、T群にはトラスツズマブを初回用量4mg/kg、その後は2mg/kg投与し、L+T群ではラパチニブ1000mg/日およびT群と同量のトラスツズマブを投与した。これら3つの治療をそれぞれ6週間続けたのち、各薬剤に週1回のパクリタキセル80mg/m2を加えて12週間投与した。手術後、FEC療法を3サイクル投与し、その後、術前と同じ薬剤による治療を34週間行った。

 主要評価項目は手術時の病理学的完全奏効(pCR)で、pCRはNSABPガイドラインにしたがって、乳房における浸潤癌の消失とした。副次評価項目は奏効率、安全性、病理学的リンパ節転移陰性患者の割合、乳癌温存術への移行率、無病生存期間および全生存期間とした。

 その結果、pCR率は、L群が24.7%、T群が29.5%であるのに対し、L+T群が51.3%と有意に高かった(T群とL+T群:p=0.0001)。またホルモン受容体(HR)陽性患者ではL群が16.2%、T群が22.7%、L+T群が41.6%(同p=0.03)、HR陰性患者ではそれぞれ33.8%、36.5%、61.3%(同p=0.005)だった。

 抗HER2療法が行われた6週時点の奏効率は、ラパチニブを投与した群で高く、L群が52.6%、T群が30.2%、L+T群が67.1%であった(同p<0.001)。手術時の奏効率はそれぞれ74%、70.5%、80.3%だった(同p=0.049)。乳房温存術が施行された率はそれぞれ42.9%、38.9%、41.4%で、リンパ節陰性の割合は48%、56.6%、69%だった(同p=0.03)。

 グレード3以上の有害事象は、下痢がL群で23%、T群が2%、L+T群が21%、肝臓酵素の上昇がそれぞれ13%、1%、9%で、好中球減少が16%、3%、9%、皮膚障害が7%、3%、7%であり、「ラパチニブ投与で毒性は強くなったが、管理可能であった」とした。心機能障害は認められなかった。また治療完遂率は、L群で66%、T群が92%、L+T群が61%だった。

 今後、試験中に得られた生体試料を用いて、抗HER2治療の感受性あるいは耐性に関わるバイオマーカ―を検索するトランスレーショナル研究を行う予定であるという。