手術可能なリンパ節転移陽性の早期乳癌患者では、タキサン系抗癌剤を含むレジメンのTACは、5-FU系抗癌剤を含むFACと比較して、無病生存率(DFS)と全生存率(OS)を有意に改善することがわかった。BCIRG001試験の10年間のフォローアップで明らかになったもので、12月8日から12日まで米国サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で、カナダCross Cancer Institute EdmontonのM. Martin氏が発表した。

 BCIRG001試験では、フォローアップ期間が55カ月の時点において、手術可能なリンパ節転移陽性乳癌患者のDFSとOSが、FACによるアジュバント療法と比較して TACで有意に改善したことを報告している。

 今回、Martin氏らは、フォローアップ期間が10年の時点におけるDFS、OS、長期の安全性について最終解析を行い、報告した。データのカットオフは2010年3月とした。

 試験の対象は、1997年6月から1999年6月に20カ国、112施設から登録された、手術可能なリンパ節転移陽性の早期乳癌患者1491人。主要目的はDFS、副次的目的はOSと安全性だった。

 TAC群ではドセタキセル75mg/m2、ドキソルビシン50mg/m2、シクロホスファミド500mg/m2、FAC群ではフルオロウラシル500mg/m2、ドキソルビシン50mg/m2、シクロホスファミド500mg/m2を投与し、3週ごとに6サイクル繰り返した。

 両群とも化学療法施行後に各施設の基準に従って放射線療法を施行し、ホルモン受容体のいずれかが陽性の患者には、タモキシフェン20mg/日を5年間投与した。

 TAC群には745人、FAC群には746人が無作為に割り付けられ、年齢中央値はともに49歳、閉経前の患者は57%と55%、乳房切除術が行われたのは60%と59%だった。

 腫瘍の大きさが2cmを超えて5cm未満の患者が両群とも半数を占めた。リンパ節転移の数が1〜3個の患者は63%と62%だった。ホルモン受容体のいずれか、または両方が陽性の患者は両群で76%、HER2陽性の患者はTAC群21%、FAC群22%だった。

 フォローアップ期間が10年の時点のDFSは、TAC群62%、FAC群55%となった(HR 0.80、95%CI:0.68-0.93、p=0.0043)。

 OSは、TAC群76%、FAC群69%だった(HR 0.74、95%CI:0.61〜0.90、p=0.002)。

 グレード3以上のうっ血性心不全の発現は、TAC群3.5%、FAC群2.3%で、有意差はみられなかった(p=0.17)。このうちグレード3は2.8%と1.9%だった。うっ血性心不全による死亡はTAC群0.3%、FAC群0.5%だった。20%を超える左室駆出率の低下はTAC群17%、FAC群15%で同様だった。

 血液の悪性疾患は、TAC群0.8%、FAC群0.4%で発症した。その他の長期的な毒性で予測されていなかったものは発現しなかった。