HER2陽性乳癌に対し、術前補助療法として、ドセタキセルとカルボプラチン、トラスツズマブラパチニブの4剤併用療法を投与した結果、病理学的完全奏効率は50%となり、有害事象も管理可能だったことが、オープンラベル無作為化フェーズ2試験で明らかになった。米University of California Los AngelesのR. Callahan氏らが、12月8日から12日に開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウムで発表した。

 フェーズ2試験では、ステージ1-3のHER2陽性乳癌患者を、TC療法(ドセタキセル、カルボプラチン)に加えて、トラスツズマブを投与する群(TCH群)、ラパチニブを投与する群(TCTy群)、トラスツズマブとラパチニブを投与する群(TCH-Ty群)の3群に無作為に分けた。

 TCH-Tyの安全性を検討するため、最初の20人はTCH-Ty群に登録された。次に120人が3群に割りつけられた。なお、今回の発表では最初の20人のデータが報告された。

 TCH-Ty群では、1サイクルは、ラパチニブ(1000mg/日、第1日から21日)とトラスツズマブ(8mg/kg)を投与し、2サイクルから、3週おきにドセタキセル(75mg/m2)、カルボプラチン(AUC 5もしくは6)、トラスツズマブ(6mg/kg)、ラパチニブ(1000mg/日、第1日から21日)を6サイクル投与した。なおTCH-Tyの安全性が明らかでなかったため、最初の6人はカルボプラチンAUC 5を投与し、その後AUC 6に増量した。その結果、用量制限毒性が見られなかったことから、そのほかの患者にはAUC 6が投与された。

 患者の年齢中央値は50歳(38から66歳)、19人は浸潤性乳管癌で、1人が浸潤性小葉癌だった。ER陽性PR陽性が9人、ER陽性PR陰性が3人、ER陰性PR陰性が8人。ステージ2Aが8人、2Bが7人、3Aが2人、3Bが3人だった。

 主要評価項目である病理学的完全奏効(pCR)は9人に認められ、pCR率は全体では45%、評価できた18人では50%となった。またER陽性患者12人では4人(33%)、ER陰性患者8人では5人(63%)がpCRと判定された。

 20人中17人が試験を完遂し、3人は有害事象のため治療を中止した。心不全やLVEF 10%以上の低下が認められる患者はいなかった。全ての患者で下痢が見られ、倦怠感は17人に、悪心・嘔吐は17人、皮膚毒性が16人、筋骨格痛が15人、感染症が14人、脱毛が13人、かゆみが10人だった。グレード3/4の有害事象は、下痢が6人、好中球減少が4人、感染症が4人、低カリウム血症が3人、腹痛が2人、貧血が2人だった。死亡はなかった。

 これらの結果から、「HER2陽性で転移のない乳癌に対し、術前のTCH-Ty療法は効果的なレジメンであり、毒性についても管理可能であった」としている。