日本人のHER2陽性T1bN0乳癌患者でも、術後アジュバントとしてトラスツズマブの投与を受けた方が良い可能性が明らかとなった。1施設の解析で断定的なことまでは言えないが、T1bの患者は有意に予後が悪く、検討すべき課題と考えられる。成果は12月9日から12日に米国サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウムで、九州がんセンターの田中仁寛氏によって発表された。

 T1N0の早期HER2陽性乳癌患者について、NCCNのガイドラインでは、T1cについてはトラスツズマブの投与を行うべきとされているが、T1bについてはどちらでも良いと規定されている。しかし、米国と韓国から、T1b期でもトラスツズマブを投与した方が良いという結果が報告されている。

 田中氏らは、トラスツズマブがアジュバントとして利用できるようになる前の2001年から2007年に、九州がんセンターで浸潤性乳管癌と診断された1180人の患者を対象に解析を行った。このうちT1N0M0期でアジュバントとしてのトラスツズマブ投与を受けていない454人について調べた。

 454人はホルモン受容体(HR)陽性患者320人、HER2陽性患者78人、トリプルネガティブ(TN)患者に分けられた。HR陽性患者では他の2群に比べて内分泌療法が多く行われ(90%)、TN患者とHER2陽性患者では5割弱の患者で化学療法が行われていた(HR陽性群では8.8%)。

 T1N0期全体では、無再発生存(RFS)率はHR陽性患者とTN患者との間に有意差はなかった(p=0.108)。しかしHR陽性患者とHER2陽性患者の間では、有意にHER2陽性患者の方が再発が多かった(p<0.001)。

 さらに細かく分類すると、T1aN0期では、RFS率はHR陽性患者(36人)とTN患者(7人)の間(p=0.5068)、HR陽性患者とHER2陽性患者(15人)の間(p=0.937) で差がなかった。しかしT1bN0期では、RFS率はHR陽性患者(89人)とHER2陽性患者(13人)の間で有意にHER2陽性患者の方が再発が多かった(p<0.001)。T1cN0患者では、HR陽性患者(195人)とTN患者(37人)ではTN患者で再発が多く(p=0.043)、HR陽性患者とHER2陽性患者の間では有意にHER2陽性患者の方が再発が多かった(p<0.001)。