手術可能なハイリスクの早期乳癌患者を対象として、ドキソルビシン+シクロホスファミド(AC)にドセタキセル(T)を追加する群(AC→T群)と、ACにドセタキセルとカペシタビン(XT)を追加する群(AC→XT群)を比較する大規模なフェーズ3試験、USON01062試験で、主要評価項目の無病生存率(DFS)のハザード比(HR)は0.84で有意差は得られなかったが、全生存率(OS)のHRは0.68でAC→XT群で有意に良好となった。12月8日から12日まで米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2010)で、米Baylor-Sammons Cancer Center のJoyce O’Shaughnessy氏が発表した。

 アントラサイクリン、シクロホスファミド、タキサンをベースとするレジメンは、ハイリスクの早期乳癌に有効である。ネオアジュバント療法、アジュバント療法でこれらの薬剤にカペシタビンを追加すると、早期に有効性が改善するとの報告もある。

 O’Shaughnessy氏らは、手術可能なハイリスクの早期乳癌患者を対象として、アジュバント療法の設定で多施設共同、無作為化のフェーズ3試験、USON01062試験を行い、標準化学療法にカペシタビンを追加することで有効性が得られるか否かを検討し、最初の報告を行った。

 ハイリスクの定義は「リンパ節転移が1個以上、T1〜3、M0」、「リンパ節転移なし、腫瘍が2cmを超える、M0」、「リンパ節転移なし、腫瘍が1cmを超える、エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体が陰性、M0」とした。

 ドキソルビシン60mg/m2、シクロホスファミド600mg/m2は1日目に投与し、4サイクル施行した。その後、AC→T群では、ドセタキセル100mg/m2を1日目に投与し、3週毎に4サイクル施行した。AC→XT群では、ドセタキセル75mg/m2を1日目に、カペシタビン825mg/m2を1日2回、1〜14日に投与し、3週毎に4サイクル施行した。

 カペシタビンの用量は960mg/m2を予定したが、口内炎の発現率が高く、初回の安全性解析で減量や中止の頻度が高かったため変更された。また2005年以降は、HER2陽性の患者に試験治療と同時または終了後にトラスツズマブを投与した。

 主要評価項目はAC→T群に対するAC→XT群の DFS、副次的評価項目はOSと安全性とした。試験デザインでは、最終解析時に518件のイベントが発生し、DFSのHRが0.78となると予測された。

 2002年8月から2006年2月までに米国の168施設から参加した2611人を無作為に割り付け、AC→T群1304人(年齢中央値51歳)、AC→XT群1307人(同50歳)とした。患者背景は両群でほぼ同様であった。

 フォローアップ期間が5年時(中央値)のDFSは、AC→T群87%、AC→XT群89%、HR 0.84(95%CI:0.67〜1.05、p=0.125)で、主要評価項目は達成できなかった。

 一方OSは、AC→T群92%、AC→XT群94%、HR 0.68(95%CI:0.51〜0.92、p=0.011)で有意に改善した。

 また探索的分析では、細胞の増殖のマーカーとして用いられるKi67の分布が多い、増殖性が高い乳癌の患者でカペシタビンの有用性があることが示唆された。

 有害事象では、グレード3以上の口内炎の発現率は、転移性乳癌に対するXTについての過去の報告よりも高かった。グレード3の口内炎は、AC→T群4.4%、AC→XT群8.8%に発現したが、グレード4は両群で1%未満だった。グレード3の手足症候群の発現は3.8%と18.1%で、グレード4はなかった。有熱性の好中球減少症は、AC→T群ではグレード3が9.7%、グレード4が3.4%、AC→XT群では6.9%と2.5%だった。新たな安全性に関するシグナルは検出されなかった。

 ドセタキセルのdose intensityの中央値は、AC→T群では0.97、AC→XT群では0.96だったが、カペシタビンのdose intensityの中央値は0.67で、過去に早期乳癌で報告されている値よりも低かった。

 O’Shaughnessy氏は「OSの改善が認められたが、5年時のイベント発生率が予測よりも低く、試験のパワーの点も考慮して、慎重に解釈する必要がある」としている。フォローアップについての解析は2012年8月に行われる予定だ。