早期乳癌でエストロゲン受容体陽性の患者におけるアジュバントとしての効果をエキセメスタンタモキシフェンで比較したTEAM(Tamoxifen and Exemestane Adjuvant Multinational)試験のバイオマーカー解析により、HER1〜3陰性例はHER1〜3陽性例と比較して、タモキシフェンよりもエキセメスタンで治療開始から2.75年の間に再発するリスクが低下し、早期治療による有用性が得られることが分かった。TEAM試験のサブスタディの一つである病理学的解析の最終結果から判明したもの。12月8日から12日まで米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2010)で、英University of EdinburghのJohn M. S. Bartlett氏が発表した。

 TEAM試験は、日本を含む世界9カ国から、閉経後の早期乳癌でエストロゲン受容体陽性の患者9779人が参加した過去最大規模の無作為化試験。タモキシフェンを約2.75年投与した後にエキセメスタンを投与して計5年間のホルモン療法を行うスイッチアジュバント療法群と、エキセメスタンを5年間投与してホルモン療法を行うイニシャルアジュバント療法群を比較評価している。SABCS2009では、5年時点の無病生存期間(DFS)は両群で同等であることが報告された。

 Bartlett氏らは、TEAM試験に参加した患者から組織片を回収、組織マイクロアレイ(TMA)を作製した。IHCでHER1、HER2、HER3を、FISHでHER2を定量解析し、同試験の治療開始から2.75年の間、すなわちスイッチする前の期間の生存に関するデータを用いてDFSと治療について解析した。

 その結果、最終的なバイオマーカー解析では、HER1〜3陽性は2872例(64%)、HER1〜3陰性は1620例(36%)となった。

 2.75年時点のタモキシフェンに対するエキセメスタンの再発リスクは、HER1〜3陰性例でHRが0.67(95%CI:0.51-0.86)、HER1〜3陽性例でHRが1.11(95%CI:0.83-1.48)となり、HER1〜3陰性例と同陽性例の相互作用の検定ではHR 0.60となった(95%CI:0.41〜0.88)。

 HERのシグナル伝達が活性化されている腫瘍ではホルモン療法に反応しない可能性や、HER3単独の作用ではホルモン療法抵抗性にはならないことも示された。

 さらにスイッチした後の期間も含めた5年間で検討すると、タモキシフェンに対するエキセメスタンの再発リスクは、HER1〜3陽性例ではHR 0.93(95%CI:0.75〜1.75)、HER1〜3陰性例ではHR 0.97(95%CI:0.81-1.16)となり、HER1〜3陰性例と同陽性例の相互作用の検定ではHR 0.96(95%CI:0.73-1.27)となった。

 スイッチ後の期間では、タモキシフェンからエキセメスタンにスイッチしたHER1〜3陰性例の再発率と治療開始からエキセメスタンを投与していたHER1〜3陰性例での再発率が近づく傾向があった。

 Bartlett氏は、「HER1〜3陰性例では、エキセメスタンで早期に治療を行うことで有用性が得られる。バイオマーカー解析による計画的で強力な治療はハイレベルの科学的なエビデンスに基づいており、早期乳癌患者のアロマターゼ阻害剤の治療スケジュールを決定するうえで、臨床医と患者を助けるもの」と話した。