去勢抵抗性前立腺癌に対し、ドセタキセル治療は標準的に行われているが、10コースでの投与終了が原則とされていた。しかし10コースを完遂できた患者では11コース以上の継続投与が安全で有効な選択肢となりうることが確認された。また11コース目開始時点での疼痛、PSAの推移、アルブミン、LDHによるリスク分類で、長期生存が期待できる症例を予測できる可能性も示唆された。4月25日から28日に札幌市で開催された第101回日本泌尿器科学会総会で、がん研有明病院泌尿器科の田中一氏らが発表した。

 対象はドセタキセル治療を行った去勢抵抗性前立腺癌患者103人のうち、11コース以上の継続投与を行った34人。治療はドセタキセル75mg/m2を3週ごとに投与した。11コース目開始時を起算日として解析を行った。

 患者の年齢中央値は70歳、PSA中央値は19.27ng/mLだった。11コース目以降の観察期間中央値は11カ月で、追加コース数の中央値は8コース(1-30コース)、相対的用量強度は66%であった。ドセタキセル投与中止は29人で、うち癌の進行による中止が17人、有害事象による中止が5人、その他が7人であった。

 治療の結果、PSA無増悪生存期間の中央値は4カ月、画像検査での臨床的な無増悪生存期間中央値は14カ月、全生存期間中央値は21カ月だった。

 グレード3以上の有害事象について、10コース目までと11コース目以降を比較して有意な違いがみられたのは、好中球減少/白血球減少のみだった。10コース目まででは、グレード3の好中球減少/白血球減少は35%、グレード4が47%だが、11コース目以降ではグレード3が15%、グレード4が24%であり(p=0.0007)、治療の継続による有害事象の増加は認められなかった。

 また全生存期間に影響を与える因子は、多変量解析の結果、疼痛の有無、11コース目開始時点でのPSA値の推移(低下/上昇)、アルブミン値、LDH値であった。そこで、疼痛、PSA上昇、アルブミン値(<3.8g/dL)、LDH値(≧270IU/L)をリスク因子としてスコア化したところ、低リスク(スコア0-2)、中リスク(同3-4)、高リスク(同5-7)によって、全生存期間は有意に分類できることが示された(p<0.001)。

 このため、「11コース目開始時の疼痛有無、PSAの推移、アルブミン、LDHによるリスク分類を用いることで、特に長期生存が期待できる症例を予測できる」とした。