限局性腎腫瘍に対するロボット支援腎部分切除術(RAPN)は、腫瘍に対する根治性と腎機能温存、低侵襲性において有用な治療法と考えられることが示された。4月25日から28日まで札幌市で開催された第101回日本泌尿器科学会総会で、藤田保健衛生大学腎泌尿器外科の深谷孝介氏が発表した。

 T1a腎癌に対する治療として、「腎癌診療ガイドライン 2011年版」(日本泌尿器科学会編)でも腎部分切除術が推奨されており、低侵襲性の観点から腹腔鏡下部分切除術(LPN)が標準術式となってきている。

 RAPNはLPNと比べて、温阻血時間(WIT)や出血量、合併症などの手術関連因子において、腫瘍位置やサイズに影響されることが少なく、ラーニングカーブの短縮にも有効と報告されている。

 深谷氏らは、2013年3月までに同院で行ったRAPNの成績について報告した。

 対象は、2010年7月から2013年3月までにRAPNを施行した13人(平均年齢58歳、男性11人)。右腎が5人、左腎が8人だった。腫瘍径の平均は30.8mm、推定糸球体濾過量(eGFR)の平均値は70.3mL/分1.73m2、RENAL Nephrometry Scoreの平均は6.8、Preoperative Aspects and Dimensions Used for an Anatomical(PADUA)classification of renal tumorsの平均は8.5だった。

 RAPNでは、体位は患側を上方とした軽度ジャックナイフ位とし、腫瘍の位置により経腹膜アプローチまたは後腹膜アプローチを選択した。温阻血下で腫瘍を切除し、解放された尿路および腎実質をそれぞれ縫合閉鎖した。

 全例がロボットで手術を完遂し、経腹膜アプローチが5人、後腹膜アプローチが8人だった。手術時間の平均は3時間12分(範囲:2時間16分-4時間24分)、コンソール時間の平均は2時間5分(同:54分-3時間11分)だった。WITの平均は24.1分(同:13分-44分)、推定出血量(EBL)の平均は165mL(同:20mL-1500mL)、摘出量の平均は17.8mL(同:4-46)だった。

 組織学的分類では、13人中12人が淡明細胞型腎細胞癌だった。全例で切除断端は陰性で、局所再発例はなく、腫瘍のコントロールは良好だった。

 術前後のeGFRに著明な悪化は認めなかった。

 有害事象を認めたのは2人だった。このうち1人に術中同種血輸血を行った(Grade II)。この患者は腎周囲の脂肪が多く、癒着もあり、EBLが1500mLとなった。腫瘍はT1bで、eGFRは46.1mL/分/1.73m2、RENAL Nephrometry Scoreは9abだった。

 また1人に尿漏を認めたが、尿管カテーテル留置で改善した(Grade IIIa)。腫瘍はT1bで、RENAL Nephrometry Scoreは8aだった。

 海外の報告では、RAPNの有効性はLPNや開腹手術と比べて著変はなく、重篤な合併症の報告も少ない。合併症の有無による因子の検討では、RENAL Nephrometry Scoreにより、合併症の発生率が予測されることが報告されている。

 今回の結果から、深谷氏は「RAPNは腫瘍に対する根治性と腎機能の維持に有用であり、安全性の高い手技と考えられる」と話した。