去勢抵抗性前立腺癌に対するドセタキセル治療は、疼痛がなく全身状態が良い時期に投与を開始し、かつ10サイクル以上投与継続することが予後延長につながる可能性が示された。4月25日から28日に札幌市で開催された第101回日本泌尿器科学会総会で、横浜市立大学大学院医学研究科泌尿器病態学の上村博司氏らが発表した。

 去勢抵抗性前立腺癌に対し、ドセタキセルが標準治療となっているが、その開始時期と治療期間は定まっていない。そこでドセタキセルの有効性を示したTAX327試験のサブ解析から得られた4つのリスク因子(貧血、骨転移、内臓転移、疼痛)を用い、中用量でのドセタキセル治療における開始時期と治療期間が検討された。

 対象はドセタキセル治療を行った去勢抵抗性前立腺癌患者52人。ドセタキセル55mg/m2とデキサメタゾン8mg/bodyを3-4週おきに外来で行い、デキサメタゾン(0.5-1.0mg)を継続経口投与した。

 リスク因子は、貧血(Hb<10ng/dL)、アルカリホスファターゼ(ALP>施設正常値)、内臓転移、疼痛の有無とし、リスク群を低リスク(0-1因子)、中リスク(2因子)、高リスク(3-4因子)に分類した。

 低リスク群は18人、中リスク群23人、高リスク群は11人で、疼痛のあった患者はそれぞれ33.3%、64.3%、90.9%であった。またリスクが高いほど、骨転移の進行も多く認められた。

 ドセタキセルの投与回数中央値は、低リスク群が14回、中リスク群が4回、高リスク群が3回であり、低リスク群ほどドセタキセル治療を多く受けていた。生存期間中央値は、低リスク群が560日、中リスク群が265日、高リスク群が209日で、低リスク群で有意な生存期間延長が示された(中リスク群に対してp<0.005、高リスク群に対してp<0.001)。

 また投与期間により短期投与(9サイクル以下)群と長期投与(10サイクル以上)群に分けたところ、短期投与群のサイクル数中央値は3サイクル(2-7サイクル)、長期投与群は16サイクル(15-40サイクル)であった。PSA変化率は、50%以上減少した人が長期投与群で33%だが、短期投与群では6%であり、長期投与群で予後延長が確認された。なお有害事象は、長期投与群で多い傾向があった。

 これらの結果から、上村氏は「ドセタキセル治療の開始時期は低リスクの状態が理想的で、骨転移に関与する疼痛出現やALP上昇の前に治療を始めるのが予後延長につながる」とした。また治療期間については「去勢抵抗性前立腺癌に対し、いかにドセタキセル治療を長く継続するかが予後を決定すると思われる」と話した。