転移性腎細胞癌に対するテムシロリムスの投与に伴う有害事象は、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による有害事象のパターンとは異なることが示された。4月25日から札幌市で開催された第101回日本泌尿器科学会総会で、慶應義塾大学泌尿器科の水野隆一氏が発表した。

 対象はテムシロリムスが投与された転移性腎細胞癌14例で、治療効果、治療期間、有害事象などについて検討した。

 患者背景は、開始時平均年齢60.7歳、男性12例、平均投与期間は223日(範囲7〜541日)で、現在も投与中は4例、投与終了したのは10例だった。

 組織型では、非淡明細胞型が5例(35.7%)、淡明細胞型が9例(64.3%)。MSKCCリスク分類でFavorableリスクは2例(14.3%)、Intermediateリスクは5例(35.7%)、Poorリスクは7例(50.0%)だった。

 テムシロリムスを使用した治療ラインは、1次治療が8例(57.1%)、2次治療が5例(35.7%)、4次治療が1例(7.1%)だった。テムシロリムスを2次治療に用いた症例における1次治療はサイトカインが1例、ソラフェニブが1例、スニチニブが3例だった。テムシロリムスを4次治療に用いた症例での使用薬剤はソラフェニブ、エベロリムス、スニチニブだった。

 治療効果は、病勢安定(SD)が9例(64.3%)、病勢進行(PD)が4例(28.6%)、判定なしが1例(7.1%)だった。SD症例のうち、テムシロリムスが1次治療だったのは5例、2次治療だったのは4例。PD症例のうち、テムシロリムスが1次治療だったのは3例、4次治療だったのが1例だった。

 さまざまな因子別にテムシロリムスによる治療期間について評価した結果、FavorableリスクおよびIntermediateリスクの症例では265日だったのに対し、Poorリスク例では180日。1次治療例は222日で、2次治療例は223日、非淡明細胞型では155日だったのに対して淡明細胞型は260日だった。14例全体での治療期間は222日だった。

 有害事象では、グレード1の口内炎が9例、グレード1の皮疹が7例、グレード3の肝膿瘍(肝感染)が1例、グレード3の穿孔性虫垂炎が1例で、高血糖はグレード1、2がそれぞれ1例ずつ認められた。肺障害は認められなかった。

 これらの結果から水野氏は、「テムシロリムス投与は平均7.5カ月継続できていたが、チロシンキナーゼ阻害薬投与時の有害事象とは異なるパターンを示し、注意が必要。また、非淡明細胞癌やPoorリスクでは治療期間が短くなる傾向にあったが、テムシロリムスが使用可能となる前における非淡明細胞癌やPoorリスク症例の予後と比較すると延長していることは確実だ」と語った。