転移性腎細胞癌に対する分子標的治療薬のSequential Therapyについて、単施設の検討が行われ、ファーストライン治療およびセカンドライン治療と比べてサードライン以降では成績が劣り、ファーストライン・セカンドライン治療の選択の重要性が示された。4月25日から28日まで札幌市で開催された第101回日本泌尿器科学会総会で、昭和大学医学部泌尿器科学講座の森田順氏が発表した。

 森田氏らは、転移性腎細胞癌に対する分子標的治療薬の同院におけるセカンドライン治療以降のSequential Therapyの現状について報告した。

 昭和大学病院では、2008年5月よりこれまでの5年間で延べ74症例に分子標的治療薬を投与してきた。ファーストライン治療に限ると、44人(ソラフェニブ23人、スニチニブ16人、テムシロリムス5人)となる。今回の検討の対象は、この44人中、Sequential Therapyを行った17人(年齢中央値62.4歳、男性70.9%)とした。17人において、ソラフェニブは10人、スニチニブは6人、テムシロリムスは1人に投与されていた。

 セカンドライン以降の治療では、2剤投与が7人、3剤投与が8人、4剤投与が1人、5剤投与が1人に行われた。セカンドライン治療に限ると、TKI-TKIが9人、TKI-mTOR阻害剤が7人、mTOR阻害剤-TKIが1人に投与されていた。

 ファーストライン治療の平均投与期間は10.3カ月で、安定状態(SD)が16人(94.1%)、進行(PD)が1人(5.9%)で、無増悪生存期間(PFS)は7カ月だった。9人が有害事象でSequential Therapyとなり、多形性紅疹や手足症候群、咽頭出血などが発現した。Sequential群と単剤群の平均投与期間はそれぞれ10.9カ月と9.4カ月で有意差はなく、PFS中央値は7.0カ月と9.4カ月で有意差はなかったが、単剤群で延長する傾向がみられた。

 セカンドライン治療の平均投与期間は9.6カ月で、部分奏効(PR)が2人(11.8%)、SDが12人(70.6%)、PDが3人(17.6%)で、PFS中央値は5.6カ月だった。最終的に11人でPDを認め、3人は有害事象によるSequential Therapyを行い、3人は現在も投与中である。ファーストライン治療とセカンドライン治療の平均投与期間とPFS中央値には、有意差は認められなかった。

 セカンドライン治療でTKI-TKIとTKI-mTOR阻害剤を比較すると、平均投与期間はそれぞれ10.3カ月と9.9カ月、PFS中央値は5.6カ月と2.3カ月で、いずれも有意差はなかった。

 サードライン以降の治療は10人に行われ、TKI-TKI-mTOR阻害剤が7人、TKI-mTOR阻害剤-TKIが1人、TKI-mTOR阻害剤-mTOR阻害剤-TKIが1人、TKI-TKI-mTOR阻害剤-mTOR阻害剤-TKIが1人に投与された。

 サードライン以降の治療の平均投与期間は4.2カ月で、PRが1人(10%)、SDが5人(50%)、PDが4人(40%)だった。PFS中央値は3カ月だった。
 
 サードライン以降の治療について、平均投与期間はファーストライン治療、セカンドライン治療との間に有意差を認め(いずれもp<0.05)、PFS中央値はファーストライン治療との間に有意差を認めた(p=0.013)。

 森田氏は「全症例中3分の1しかセカンドライン治療に移行していない現状を考えると、ファーストライン治療の選択は最も重要。使用できうる最も効果の高い薬剤を様々な背景から選択する必要があると思われる」と話した。