チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)抵抗性腎細胞癌に対し、mTOR阻害剤による逐次療法は、安全に施行でき、治療前CRP値などの効果予測因子を考慮することで、より効果が期待できることが確認された。4月25日から28日に札幌市で開催された第101回日本泌尿器科学会総会で、神戸大学大学院医学研究科腎泌尿器科学分野の熊野晶文氏らが発表した。

 対象は転移性腎細胞癌で、TKIに続いてmTOR阻害剤を1カ月以上使用した83人。うち男性が61人、年齢中央値は66歳(37-84歳)だった。

 TKIによる前治療がソラフェニブだった患者は27人、スニチニブは56人。セカンドライン治療としてmTOR阻害剤を使用した患者は47人(56.6%)で、このうちエベロリムスが28人、テムシロリムスが19人。サードライン治療としてmTOR阻害剤を使用した患者は36人(43.4%)で、エベロリムスが29人、テムシロリムスが7人だった。

 抗腫瘍効果は、最良効果でPRが5人(6.0%)、SDが53人(63.9%)、PDが25人(30.1%)で、PR+SDは69.9%となった。

 mTOR阻害剤による治療開始日を起点とした無増悪生存期間(PFS)中央値は4.7カ月、全生存期間(OS)中央値は11.1カ月だった。

 主な有害事象は口内炎、肺炎、皮疹、貧血、血小板減少などで、グレード3/4の有害事象は、口内炎(3.6%)、肺炎(8.4%)、貧血(8.4%)、好中球減少(4.8%)などが認められた。

 またmTOR阻害剤の独立した効果予測因子として、PFSについては、単変量解析では性別、肝転移、治療前CRP値が、多変量解析では肝転移(なし)、治療前CRP値(0.8mg/dL未満)が有意だった。OSについては単変量解析では前治療のTKI、治療前CRP値が有意で、多変量解析では治療前CRP値のみが独立した効果予測因子であった。

 これらの結果から、「mTOR阻害剤は比較的安全に使用でき、効果予測因子を加味して、逐次療法として導入することにより、有用な治療効果が期待できる可能性がある」とした。