局所浸潤性膀胱癌において、画像学的腫瘍形態は術前化学療法の有効性および予後を予測する因子となる可能性が、レトロスペクティブな検討から示唆された。4月25日から28日まで札幌市で開催された第101回日本泌尿器科学会総会で、岩手医科大学泌尿器科学講座の岩崎一洋氏が発表した。

 局所浸潤性膀胱癌の予後因子として、腫瘍深達度、リンパ節転移の有無、摘出標本の外科的切除縁の状態などがあげられる。一方、画像学的腫瘍形態が予後と相関するか否かは不明であり、その理由は腫瘍形態を客観的に評価することが困難なためと考えられる。

 岩崎氏らは、膀胱癌原発巣の画像学的腫瘍形態を客観的に評価するために数値化し、病理学的深達度、リンパ節転移、生存率と相関するかについてレトロスペクティブに検討した。

 対象は、MRIで局所浸潤性膀胱癌(cT2-cT4aN0M0)と診断し、術前化学療法を施行後、膀胱全摘除術と骨盤リンパ節郭清術を施行した患者。各患者の治療前の腫瘍外径長/膀胱内腔への進展距離を測定し、数値化した。

 56人(年齢中央値68歳)が対象となり、臨床病期はcT2N0M0が23人(41%)、cT3N0M0が30人(54%)、cT4N0M0が3人(5%)だった。化学療法ではカルボプラチン+ゲムシタビンが51人(91%)に投与されていた。観察期間中央値は28カ月だった。

 腫瘍外径長/膀胱内腔への進展距離の中央値は、pT0-2の症例では1.7、pT3-4の症例では5.0だった(p<0.001)。pN0の症例とpN1およびpN2の症例では、それぞれ1.7と5.1となった(p=0.001)。

 腫瘍外径長/膀胱内腔への進展距離のカットオフ値を3.75とすると、pT3以上である感度は80%、特異度は100%、pN1以上である感度は71%、特異度は96%となった。

 2010年12月31日までに診断した41人の癌特異的生存期間は、腫瘍外径長/腫瘍内腔への進展距離が3.75以上の症例では20カ月、3.75未満症例では中央値に達せず、有意差が認められた(p<0.001)。

 岩崎氏は「腫瘍外径/膀胱内腔への進展距離の値が大きい腫瘍では、pT3-4症例またはpN(+)症例が多く、予後不良であったことから、術前化学療法が無効だった可能性が考えられる」と話し、腫瘍進展方向が膀胱壁に沿って進行した症例の予後が不良である理由は不明であるが、VEGF、マトリックスメタロプロテアーゼ、E-cadherin、EGFRなどが因子として膀胱癌の浸潤に関与していると考えられるとした。