肺転移のみを有する腎細胞癌に対し、インターロイキン(IL)-2、インターフェロン(IFN)-α、テガフール・ウラシルの併用療法(IAT療法)は、安全に施行でき、患者によっては手術と組み合わせることで長期生存も可能であることが明らかになった。4月25日から28日に札幌市で開催されている第101回日本泌尿器科学会総会で、山形大学医学部腎泌尿器外科の加藤智幸氏らが発表した。

 対象は、肺転移のみを有する腎細胞癌で、1次治療としてIAT療法を行った12人。治療は導入療法として8週間を1コースに、第1週はIL-2(70-210万単位/日)を連続5日間静注、第2週はIFN-α(300万単位/m2)を週3回隔日に皮下または筋注した。第3週はIL-2(第1週の最大用量)を5日間静注、第4-7週はIFN-α(300万単位/m2)とテガフール・ウラシル配合剤(300mg/日)を投与。第8週は休薬した。3コース終了後は維持療法として週1回のIL-2投与と週2回のIFN-αを行った。

 患者の年齢中央値は62歳(41-79歳)、12人のうち男性が9人、淡明細胞癌が11人、乳頭状癌が1人、MSKCCリスク分類でfavorableリスクが4人、intermediateリスクは8人だった。

 治療の結果、最良効果はCRが1人(8%)、PRは1人(8%)、SDは5人(42%)、PDは5人(42%)で、奏効率は16%、6カ月以上のSDを含む病勢制御率は58%であった。
 
 また12人のうち4人は無病生存(NED)に至っており、このうち2人では維持療法で長期間のSDが持続し、手術により転移巣摘除した後にCRが認められた。
 
 無増悪生存期間中央値は19.8カ月で、全生存期間中央値は37.8カ月だった。
 
 有害事象としては、発熱、腹痛、悪寒、倦怠感などが認められたが、グレード3以上は発熱に伴う失神が1人のみで、治療中止となっている。

 さらに、抗腫瘍効果がSD以上の7人とPDの5人を比較した結果、危険因子として、原発巣のTステージが高い、肺転移巣の最大径が大きい、ヘモグロビン低値(貧血)、初診時転移ありが有意だった。

 以上のことから、加藤氏は「肺転移のみを有する腎細胞癌患者に対するIAT療法は比較的安全であり、患者を選択して手術療法と組み合わせることで長期生存が期待できる」とした。