ハイリスク前立腺癌に対し、手術単独治療に比べ、LHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)+エストラムスチンによる術前療法は、PSA非再発率を向上させる可能性があることが確認された。4月25日から28日に札幌市で開催されている第101回日本泌尿器科学会総会で、弘前大学大学院医学研究科泌尿器科学講座の古家琢也氏らが発表した。

 同施設ではハイリスク前立腺癌に対し、LHRH+エストラムスチンによる術前療法を行っている。前向き研究で、3年PSA非再発率は84.3%、pT0が4.9%に認められた。この治療の有効性を確認するため、患者の背景因子を調節してマッチングさせる方法であるpropensity score(傾向スコア)解析を用いて、手術単独群と比較した。

 対象はハイリスク前立腺癌で手術療法を行った355人のうち、propensity scoreで背景を合わせた手術単独群95人、LHRH+エストラムスチン群95人。背景因子の調整は年齢、初診時PSA、臨床病期、生検Gleason score(GS)を用いた。
 
 LHRH+エストラムスチン群は、LHRHを3カ月毎、エストラムスチンは2カプセルを6カ月内服した後に、根治的前立腺全摘除術(ミニマム創手術もしくはロボット支援手術)が行われた。

 患者の年齢中央値はLHRH+エストラムスチン群が69歳、手術単独群が68歳、初診時PSA中央値はそれぞれ10.1ng/mL、10.3ng/mLで、観察期間の中央値は22カ月、71カ月であった。

 手術時間の中央値はLHRH+エストラムスチン群が114分、手術単独群129分(p=0.008)、出血量はそれぞれ730mL、993mL(p=0.012)だった。

 またLHRH+エストラムスチン群ではpT0が6人(6.3%)で、限局癌も有意に多かった(p<0.0001)。断端陽性例も6人(6.3%)で有意に低く(p<0.0001)、リンパ節転移陽性例はなかった。

 5年PSA非再発率は手術単独群が42.2%であるのに対し、LHRH+エストラムスチン群は84.6%と有意に高かった(p<0.0001)。また多変量解析の結果、術前療法が最も強い予後規定因子であった。

 この結果から、ハイリスク前立腺癌における手術単独治療の効果には限界があり、「術前LHRH+エストラムスチン療法は、PSA非再発率を改善させる可能性がある」とした。