ハイリスク前立腺癌患者において、前立腺生検標本での導管内浸潤(IDCP)は、前立腺癌死と再発の最も強い予後予測因子である可能性が、レトロスペクティブな解析で明らかになった。4月25日から28日まで札幌市で開催されている第101回日本泌尿器科学会総会で、名古屋大学大学院医学系研究科泌尿器科学の加藤真史氏らが発表した。

 加藤氏によれば、前立腺癌細胞の導管内浸潤は、PSA再発をエンドポイントに解析した場合、ハイリスク前立腺癌の摘出標本において有意な予後予測因子になりうると報告されているが、再発や癌特異的生存率について調べた研究はない。

 そこで前立腺生検標本におけるIDCPの存在を評価し、再発や前立腺癌死におよぼす影響をレトロスペクティブに検討した。ハイリスクの定義はNCCNガイドラインに従った。

 対象はハイリスク前立腺癌と診断され生検標本が得られた201人。平均年齢は68歳、平均フォローアップ期間は87カ月であった。診断時のPSA値が20ng/mL超だった患者は119人(59.2%)、臨床病期T3aは45人(22.4%)、T3bは39人(19.4%)で、生検標本のGleason score(GS)8以上は148人(73.6%)だった。

 1人の泌尿器病理医が全例について前立腺生検標本および摘出標本の再評価を行った。その結果、断端陽性は80人(39.8%)、IDCP陽性は全摘標本では99人(49.3%)、生検標本では74人(36.8%)だった。

 無増悪生存期間(PFS)は、5年PFS率が84.1%、10年PFS率は69.5%だった。IDCP陰性の127人では5年PFS率は94.2%、10年PFS率は86.5%となった。一方、IDCP陽性の74人ではそれぞれ66.7%、46.2%だった。

 癌特異的生存(CSS)は、5年CSS率は93.7%、10年CSS率は81.9%であり、IDCP陰性ではそれぞれ98.3%、96.8%だが、IDCP陽性では85.7%、64.6%であった。癌死は201人中19人(9.5%)、癌死までの期間中央値は65カ月、IDCPは19人中16人(84.2%)に認められた。多変量解析の結果、IDCPのみが癌特異的生存率の有意な予後予測因子であった(オッズ比7.233、p=0.003)。

 また再発は201人中43人(21.3%)、増悪までの期間中央値は49カ月、IDCPは43人中33人(76.7%)に認められた。多変量解析の結果、再発に関して、IDCP、Tステージ、断端陽性が有意な予後予測因子であった。

 このため、「前立腺生検標本におけるIDCPの存在はハイリスク前立腺癌患者において、前立腺癌死および前立腺癌臨床再発の最も強い予後予測因子となった」とし、「生検でIDCPを認める場合、局所療法のみならず集学的治療を考慮すべきである」とまとめた。