筋層非浸潤膀胱癌に対し、BCG抵抗性とならないための副作用対策や、BCG抵抗性となった場合の新しい膀胱内注入療法の検討が、現在進められている。4月27日から30日まで盛岡市で開催された第98回日本泌尿器科学会総会で、弘前大学大学院医学研究科泌尿器科学講座の米山高弘氏が現在進行中の新たな膀胱内注入療法について解説した。

 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)とその後のBCG膀胱内注療法は、筋層非浸潤膀胱癌治療のゴールドスタンダードである。しかし、副作用でBCG膀胱内注入療法を中断すれば十分な臨床効果は期待できないため、有用な副作用対策で治療を完遂することが重要な課題となる。

 副作用対策の1つに、1回投与量の減量が挙げられる。治療効果を維持しながら、BCGをどこまで減量することができるかについて、コンノート株の81mgと27mgで比較が行われ、再発予防効果は同等で、副作用は27mgが有意に軽度であったことが確認された。またBCG 27mgと13.5mgでは、再発予防効果は27mgが高く、副作用は同等であった。したがって27mgが減量の限界である可能性が考えられた。

 コンノート株とは性質や作用機序が異なる日本株において、どこまで減量が可能であるかについて、米山氏らは、TaまたはT1の膀胱癌患者を対象として、1988〜1998年までに日本株80mgを投与した群(85人)と1998〜2005年までに同40mgを投与した群(65人)のヒストリカルコホート研究を行った。

 TURBT後に再発予防として、週1回、6週間投与した結果、再発予防効果と進展予防効果は同等であった。T1G3の膀胱癌患者においても有意差はなく、効果は同等と考えられた。

 副作用全出現率は、80mg投与群で80.0%、40mg投与群で60.0%と、40mg投与群で有意に低かった(p=0.012)。頻尿の程度も40mg投与群で軽度であった(p=0.013)。この結果により、日本株40mgでも治療効果を損なわずに副作用を軽減する可能性が示唆された。

 現在、国内で低用量BCG膀胱内注入療法の有用性に関するランダム化比較試験が進行中で、結果が期待される。

 別の副作用軽減対策として、国内で使用可能なコンノート株と日本株の交替療法の有用性も考えられている。

 さらにPost-BCGとして、新しい膀胱内注入療法の検討も進められている。その一つ、ゲムシタビンは、初回のBCGの膀胱内注入療法で無効となった膀胱癌患者において、BCGと比べて無再発生存率が有意に改善し、G3の膀胱癌にも同様の結果を示したことが報告されている。

 さらに、Mycobacterial Cell Wall-DNA complex(MCW-DNA complex)の有効性と安全性の高さが報告されている。また、BCGから有効な菌体成分を抽出したBCG-Cell Wall Skeleton(BCG-CWS)の研究も進められている。

 米山氏らは、ナノ粒子化したBCGから有効な菌体成分を抽出し、臨床応用からテーラーメード化膀注療法を目指している。ナノ粒子化したBCGの上清成分と沈殿成分の混合物は、日本株と同等に生細胞数を抑制することが確認されている。「ただし、成分を分けると同等の効果が得られなくなるため、今後の検証が必要」と米山氏は話した。