スニチニブまたはソラフェニブに不応となった転移性の腎細胞癌患者にエベロリムス(RAD001)を投与するREnal Cell cancer treatment with Oral RAD001 given Daily(RECORD)-1試験の日本人サブグループを検討した結果、有効性は試験全体と同様で、有害事象に関しても明らかな差は認められないことが示された。4月27日から30日まで盛岡市で開催された第98回日本泌尿器科学会総会で、静岡がんセンター泌尿器科の庭川要氏が発表した。

 mammalian Target Of Rapamaycin(mTOR)は、腫瘍細胞の増殖、血管新生、代謝の中心的調節因子であることが知られている。mTOR阻害剤のエベロリムスは、国内では5mgの錠剤が根治切除不能または転移性の腎細胞癌を対象として4月16日に発売された。

 血管内皮細胞成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFR-TKI)のスニチニブまたはソラフェニブの治療で無効となった腎細胞癌患者に対し、エベロリムスの臨床的有用性が確立されたのは、REnal Cell cancer treatment with Oral RAD001 given Daily(RECORD)-1試験の結果からであった。

 同試験では、淡明細胞から構成される転移性の腎細胞癌患者がエベロリムス群に277人、プラセボ群に139人の割合で割付けられた。中間解析でエベロリムスの有効性が明らかになり、試験は有効中止となった。最終的なエベロリムス群の無増悪生存期間(PFS)の中央値は4.90カ月で、プラセボ群の1.87カ月を有意に延長した(ハザード比0.33、95%信頼区間:0.25‐0.43、p<0.001)。

 今回、庭川氏らは、RECORD-1試験に組み入れられた日本人患者24人でのサブグループ解析を行い、報告した。

 対象は、エベロリムス群15人(年齢中央値65歳、男性93%)とプラセボ群9人(同62歳、56%)。

 前治療としてスニチニブ、ソラフェニブ、または両剤による治療を受けた患者の割合は、エベロリムス群でそれぞれ13%、80%、7%、プラセボ群で22%、78%、0%で、RECORD-1試験全体の対象と比べてソラフェニブによる治療を受けた患者の割合が高い傾向にあった。サイトカイン療法は、エベロリムス群で100%、プラセボ群で89%が受けていた。

 日本人患者のPFSの中央値は、エベロリムス群で5.75カ月、プラセボ群で3.61カ月であった(ハザード比0.19、95%信頼区間:0.05‐0.83)。この結果はRECORD-1試験全体の結果と同様の傾向だった。

 安全性については、関連が否定できないグレード3以上の有害事象として、高血糖、高脂血症、血小板減少症、肺炎が各1人(各7%)に発現したが、RECORD-1試験全体の結果と明らかな差は認められなかった。

 庭川氏は「日本人の症例数は限られていたため、有害事象に関しては十分な観察を行い、安全性を検討していく必要がある」としている。