筋層浸潤膀胱癌(MIBC)に対し、低用量化学放射線療法とミニマム創内視鏡下手術による部分切除で、再発はなく、根治的膀胱温存ができることが確認された。東京医科歯科大学大学院泌尿器科学の古賀文隆氏らが、4月27日から30日まで盛岡市で開催された第98回日本泌尿器科学会総会で発表した。

 ミニマム創内視鏡下手術は、5〜6cmの単一創に内視鏡を入れて、膀胱や腎臓、前立腺を摘除する手術。腹腔鏡手術と違い、空間を確保するための炭酸ガスを使わないのが特徴。

 1997年から2009年に臨床病期T2-4aN0M0の膀胱癌患者170人のうち、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)を行った後に、低用量化学放射線療法(LCRT)を施行。癌が膀胱内に限局し、膀胱頚部あるいは三角部に及ばない場合はミニマム創内視鏡下膀胱部分切除(PC)を、そうでない場合は根治的膀胱全摘除(RC)を行うこととした。

 低用量化学放射線療法は、小骨盤腔40Gyの照射を行い、シスプラチン20mg/日を5日間投与し2コース行った。化学放射線療法後に残存腫瘍がない、あるいは僅かな筋層非浸潤膀胱癌の残存を認めた患者62人(36%)がPCの適応となり、実際には43人に対してPCが行われた。

 170人全員の5年癌特異的生存率は71%。LCRT後の追跡期間中央値45カ月で、PC群の5年癌特異的生存率は100%であり、全摘除群(78人)や手術を行わなかった群(49人)に比べ顕著に高かった。

 PC群では筋層浸潤再発または骨盤リンパ節再発はなかった。一方、PCの適応だが本人の希望で根治的手術を施行しなかった13人では、5年非再発生存率は82%だった。

 このため古賀氏は、「ミニマム創内視鏡下手術による膀胱部分切除はMIBC再発を抑止し、ひいては生命予後の改善に寄与する可能性がある」と述べた。