術後再発する危険性が高いハイリスク前立腺癌に対し、ドセタキセルを用いた術前化学内分泌療法は、安全に施行でき、術後再発率を低下させる可能性のあることが示された。秋田大学大学院医学系研究科腎泌尿器科学の成田伸太郎氏が、4月27日から30日まで盛岡市で開催された第98回日本泌尿器科学会総会で発表した。

 対象は、2006年8月から2010年4月までに術前化学内分泌療法を行い、その後、前立腺全摘(1人は膀胱全摘)を施行したハイリスク前立腺癌17人。なお「ハイリスク前立腺癌」は、グリソンスコアが9以上、PSAが15ng/mL以上、臨床病期T3――のうち少なくとも1つを満たす場合と定義された。実際には、17人のうち、PSAが15ng/mL以上は15人、グリソンスコアが9以上は10人、臨床病期T3以上は7人だった。

 LH-RHアゴニストと抗アンドロゲン剤ビカルタミドによるMAB療法を12週間行った後に、ドセタキセル(30〜40mg/m2)の週1回投与を6回行い、リン酸エストラムチン(560mg)は連日投与した。約4週間後に手術を施行した。

 その結果、組織学的にT0となり完全奏効(グレード3)と判定された患者が2人、かなり有効(グレード2)が10人、やや有効(グレード1)が5人だった。手術では、断端は全て陰性だった。観察期間中央値は17カ月で、PSA再発は4人だが、いずれも治療後に組織学的T3/T4の患者だった。

 全摘後の無再発生存率は、2006年までに行われた術前内分泌療法+手術による治療では、手術単独と有意差がなかった。しかし、ドセタキセルを加えた術前化学内分泌療法の無再発生存率は、現時点で両治療群に比べ顕著に優れていた。

 グレード3以上の副作用は、肝機能障害が1人のみだった。

 これらの結果から成田氏は、「ドセタキセルを中心とした術前化学内分泌療法は、重篤な副作用がなく、施行可能であり、術後再発率の低下や全摘治療の根治性を高める可能性がある」とまとめた。また、GETUG12などの大規模な無作為化比較試験が進行しており、それらの成績が待たれるとも指摘した。