骨転移がある前立腺癌において、HER2過剰発現を認める患者はHER2陰性の患者に比べて予後不良であり、HER2が内分泌療法後の予後マーカーになる可能性が明らかになった。愛知医科大学医学部泌尿器科学の飛梅基氏らが、4月27日から30日まで盛岡市で開催された第98回日本泌尿器科学会総会で発表した。

 対象は、1998年1月から2006年12月までに骨転移を有する前立腺癌(臨床病期D2)と診断された102人。最終観察日は2009年5月31日。HER2発現は免疫組織化学的に評価され、1+以上を陽性と判定した。

 その結果、判定が0(陰性)は72人、1+が10人、2+が14人、3+が6人で、HER2陽性は計30人(29.4%)だった。HER2陽性群と陰性群を比較したところ、年齢、観察期間、PSA、骨転移の指標であるEOD、Tステージ、Nステージには有意差がなかった。

 5年癌特異生存率は陽性群が40.9%、陰性群が67.3%と、陽性群の方が有意に低かった(p=0.0301)。PSAによる無再燃率は陽性群が0%だが、陰性群は43.9%だった(p=0.0192)。さらにPSA再燃後の5年癌特異的生存率はそれぞれ22.5%、43%で、陽性群の方が予後不良であった (p=0.032)。

 飛梅氏によれば、in vivoの研究で、HER2はアンドロゲン受容体経路の活性化と転写活性を調節していることが報告されている。アンドロゲン受容体は、前立腺癌がホルモン抵抗性になり再燃する過程で重要な役割を果たしていると言われる。HER2陽性群では再燃後の予後が不良だったことから、「内分泌療法抵抗性となった癌細胞は、HER2の作用によって、よりアグレッシブに増殖していくためと考えられる」とした。