ドセタキセル抵抗性の再燃前立腺癌に対し、新規腫瘍抗原CDCA1 を標的とした癌ペプチドワクチン療法は安全に施行できることが、フェーズ1/2試験で示された。岩手医科大学医学部泌尿器科学の小原航氏らの研究グループが、4月27日から30日まで盛岡市で開催された第98回日本泌尿器科学会総会で発表した。

 小原氏らは東京大学医科学研究所との共同研究で、遺伝子のスクリーニングによって、前立腺癌に高頻度に発現する遺伝子CDCA1を同定した。CDCA1由来のペプチド(HLA-A24拘束性エピトープペプチド)を作製し、このペプチドを標的とした癌ペプチドワクチンの医師主導型第1/2相試験を2009年9月に開始した。

 対象は、ドセタキセル抵抗性の進行性前立腺癌で、日本人の60%に認められるHLA-Aフェノタイプ(HLA-A*2402)の患者。第1相部分では、CDCA1由来ペプチドワクチン1mgを6人に投与し、安全性が確認されたのちに、3mgを6人に投与して、推奨投与量を決定する。

 第2相部分では8人を追加し、第1相部分と合わせて14人中1人以上で臨床的奏効が認められれば30人まで追加して、腫瘍縮小効果、PSA奏効率を評価する。副次評価項目としては全生存、免疫学的評価(ペプチド特異的CTL誘導能)としている。

 現在までに第1相部分の1mg投与が6人、3mg投与が1人に行われている。患者の年齢は67〜84歳、前治療はMAB療法(LH-RHアゴニスト、抗アンドロゲン剤)やエストラムスチン、ドセタキセルなどで、ドセタキセルによる治療期間は2〜32カ月であった。

 1mg投与群の投与回数は6〜27回、平均生存期間は189日(51〜288日)で、4人は5カ月以上であった。重篤な全身有害事象はなかったことから、小原氏は「ドセタキセル抵抗性患者に対する治療として期待できる」と述べた。ただし、ワクチンでは効果発現に時間がかかる場合も多く、一般に3カ月位は経過を見る必要があるという。

 研究グループでは、筋層非浸潤性膀胱癌に対する癌ペプチドワクチン療法の臨床試験も2007年から開始し、第2相試験には110人が登録している。術後補助療法としてBCG膀胱内注入とペプチドワクチン投与を行い、評価できた103人では約3割はBCGが完遂(8回注入)できなかったが、治療後6カ月で無再発率は89.8%、1年無再発生存率は79.6%と本学会で報告した。