前立腺癌に対する放射線外照射併用高線量率ブラキテラピーEBTR+HDR)は比較的良好な短期成績が得られ、有害事象も重篤なものはなく、局所前立腺癌治療の1つのオプションになりうるとする結果が示された。4月27日から30日まで盛岡市で開催されている第98回日本泌尿器科学会総会で、国立病院機構九州医療センター泌尿器科の坂本直孝氏が発表した。

 前立腺癌に対する密封小線源療法として、日本ではヨウ素による低線量率ブラキテラピーが主体となっているが、イリジウムによる高線量率ブラキテラピー(HDR)は、線源の逸脱がないこと、アプリケーター針穿刺の自由度、線量分布の均一性などの点から、有用性が高いと考えられているという。坂本氏は、同院のEBTR+HDRの現在までの治療成績を報告した。

 対象は、2004年5月から2010年3月までに同院で治療を行った局所前立腺癌(T1〜3N0M0)患者で、EBRT+HDRを施行し、2010年3月末までに他因死例を除いて6カ月以上経過観察が可能だった114人(年齢中央値70歳)。

 治療前PSAの中央値は9.56ng/mLで、10以下が63人、10〜20が35人、20超が16人だった。臨床病期はT1cが72人、T2aが14人、T2bが 11人、T2cが 4人、T3aが 9人、T3bが 4人で、生検でのGleason scoreは、6以下が29人、3+4が43人、4+3が21人、8以上が21人だった。D’Amicoのリスク分類では、低リスク群12人、中リスク群65人、高リスク群37人であった。

 EBRTは、4門照射で小骨盤腔/前立腺局所、HDRは前立腺被膜より5mm外縁をターゲットとした。

 線量はEBRT 40Gy(2Gy/fr×20fr)+HDR 30Gy(6Gy/fr×5fr)で開始したが、1回線量を増加して治療回数を減らすため、低・中リスク群では2006年6月よりEBRT 39Gy(3Gy/fr×13fr)+HDR 18Gy(9Gy/fr×2fr)に、高リスク群では2007年4月よりEBRT 51Gy(3Gy/fr×17fr)+HDR 18Gy(9Gy/fr×2fr)に変更した。その後、高リスク群では2010年1月よりEBRT 45Gy(3Gy/fr×15fr)+HDR 20Gy(10Gy/fr×2fr)とした。

 ネオアジュバントホルモン療法は58人に行われ、施行期間の中央値は3カ月で、放射線治療後のアジュバントホルモン療法は再発までは施行していない。

 経過観察期間の中央値は33カ月だった。低・中・高リスク群の5年PSA非再発率は、それぞれ100%、94.7%、59.2%であった。

 さらに高リスク群では、「T2c以上」、「Gleason score 8以上」、「PSA20ng/ml超」の項目のうち、1項目を満たす症例の58カ月PSA非再発率は87.4%、2項目以上の条件を満たす症例の58カ月PSA非再発率は26.9%と、両群間に有意差を認めた(p=0.007)。

 高リスク群では1人が42カ月で癌死した。また同群の4人にPSA再発後、臨床的再発を認めた。多発性骨髄腫などの他因死は4人に認められた。

 有害事象はグレード3以上の重篤なものは認められなかった。早期ではアプリケーター針抜去後の凝血塊による尿閉、膀胱タンポナーデ、尿閉を各1人に認めた。尿意切迫/切迫性尿失禁は5人に認め、4人は症状が持続した。急性精巣上体炎も1人に認められた。晩期では直腸出血を17人(14.9%)に認めたが、輸血や手術を要した症例はなかった。尿道狭窄は15人(13.2%)に認められた。肉眼的血尿は5人、尿意切迫または切迫性尿失禁は8人に認められた。

 坂本氏は、「2項目以上を満たす高リスク群では、線量の増加やアジュバント療法などの検討が必要。また有害事象の直腸出血や尿道狭窄の発生率を減じる工夫も必要と考える」と話した。

 本治療法の問題点として「アプリケーターが治療時間の経過とともに抜けてくる」ことがあり、前立腺底部の線量低下、膜様部から球部尿道の線量増加による尿道狭窄につながる可能性がある。改良点として、前述のように1回線量を増加して治療回数を減らす、治療毎に治療計画用CTを撮影して治療計画を立て直し、ターゲットのずれを修正するなどの対策をとっているという。