MSKCC (Memorial Sloan Kettering Cancer Center)リスク分類を日本人の転移性腎細胞癌に適用すると、intermediateリスク群とpoorリスク群に予後良好な患者が含まれる可能性のあることが示された。一般施設を対象にした解析で明らかになった。北海道大学大学院医学研究科腎泌尿器外科の篠原信雄氏らが、4月27日から30日まで盛岡市で開催されている第98回日本泌尿器科学会総会で発表した。

 対象は1995年から2005年までに、北海道大学病院泌尿器科または関連施設に通院した転移性腎細胞癌患者473人。男性が7割を占め、転移診断時の年齢中央値は66歳、フォローアップ期間中央値は18.2カ月だった。

 生存期間(OS)中央値は22.2カ月で、日本人転移性腎癌1463人を対象とした報告(Naito S. et al., Eur Urol 2009)の21.4カ月とほぼ同じだった。また1年生存率は66%、3年生存率は40.4%、5年生存率は27.4%であった。

 多変量解析の結果、治療前の臨床的因子のうち、初診から転移治療開始までの期間(1年未満)、ECOG-PS(1以上)、ヘモグロビン(正常下限未満)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH:正常上限1.5倍超)、補正Ca(10mg/dL超)、CRP(0.3mg/dL超)、転移臓器数(2臓器以上)が、有意な予後因子であることが示された。篠原氏は、「特にCRPは良い予後因子である」と指摘した。

 MSKCCリスク分類を用いたところ、各リスク群の全生存期間は欧米に比べて、およそ2倍長いことが示された。一方、患者数の比率は、欧米のデータに比べ、favorableリスク群では低いが、poorリスク群では高く、これもNaitoらの報告と同じ傾向であった。

 次にMSKCCリスク分類とNaitoらのリスク分類を比較した。Naitoリスク分類では、腎癌診断から転移治療開始までの期間、LDH、補正Ca、ECOG-PS、CRPの5つをリスク因子として、因子が0〜1をfavorable群、2〜3をintermediate群、4〜5をpoor群としている。

 その結果、MSKCCのintermediateリスク群には、Naitoリスク分類のfavorable群(125人)のうち70人が、intermediate群(203人)のうち94人が含まれ、それぞれのOS中央値は48カ月、19.7カ月と有意差があった(p=0.0005)。

 MSKCCのpoorリスク群には、Naitoリスク分類のintermediate群のうち108人が、poor群(49人)のうち49人が含まれ、それぞれのOS中央値は10.4カ月、7.6カ月だった(p=0.0026)。

 MSKCCリスク分類のintermediateリスク群とpoorリスク群には、より予後良好な患者が含まれていることから、篠原氏は「MSKCCリスク分類の使用にあたっては、十分な注意が必要である」と結論した。