筋層浸潤膀胱癌に対して、ゲムシタビンカルボプラチンによる術前化学療法は、副作用が軽度で、抗腫瘍効果はあり、生存を延長する可能性もあることが報告された。弘前大学大学院医学研究科泌尿器科学の鈴木裕一朗氏らが、4月27日から30日まで盛岡市で開催される第98回日本泌尿器科学会総会で発表した。

 筋層浸潤膀胱癌の術前化学療法としては、MVAC療法(メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シスプラチン)によって予後は改善するが、副作用が強いために完遂率が低いことが指摘されている。最近では、ゲムシタビンとシスプラチンによる術前化学療法がMVAC療法と同等の治療効果があり、かつ副作用が軽度であると言われている。しかし、シスプラチンは腎機能障害のある患者や高齢者では投与しにくいことから、鈴木氏らの施設では全例にゲムシタビンとカルボプラチン併用療法を施行している。

 対象は、筋層浸潤膀胱癌患者87人(うち男性は72人)。平均年齢は66.7歳。ゲムシタビン(800mg/m2)を第1日、8日、15日に、カルボプラチン(AUC 4)を第2日に投与した。3週を1コースとして、術前に2コース行った後に手術を施行した。

 観察期間は4.1〜58.6カ月で、完遂率は95.4%と高かった。抗腫瘍効果は、完全奏効(CR)率が27.2%で、奏効率は66.2%、病理学的CRは23%、pT0-2率は82.8%だった。2年生存率は92.7%、2年無病生存率は87.1%だった。また、サブ解析から、腫瘍縮小率とpT率によって生存率と無病生存率が異なったことから、「奏効例で予後が良いことが示された」(鈴木氏)。

 有害事象は、白血球減少、血小板減少、肝機能障害、貧血、嘔気、発疹、腎機能障害、脱毛で、消化器症状はなかった。グレード3/4の有害事象は、白血球減少が32.9%、血小板減少が20%、グレード3では肝機能障害が4.3%、貧血が15.7%、発疹が14.3%に認められたが、グレード3以上の腎機能障害はなかった。

 これらのことから演者らは、「術前ゲムシタビン・カルボプラチン療法は生存率の延長に寄与する可能性がある」とまとめた。