自験例および国内報告の検討において、再燃前立腺癌に対するドセタキセル3週毎+プレドニゾロン療法のPSA奏効率は50%を超え、TTPは6カ月を超えるという結果が得られた。4月16〜19日に岡山市で開催された第97回日本泌尿器科学会総会のパネルディスカッションで、筑波大学大学院人間総合科学研究科臨床医学系泌尿器科の島居徹氏が発表した。

 再燃前立腺癌の治療として2008年8月に国内で承認されたドセタキセルの投与量は75mg/m2/3週(プレドニゾロン併用)であるが、これまでの使用状況は70mg/m2またはそれ以下で、またリン酸エストラムチン(EMP)併用とするレジメンが多い。島居氏らは自験例と最近1年間の国内のドセタキセル併用治療の報告を集計し、用量と併用薬剤について検討した。

 自験例では、2004年9月〜2009年2月に筑波大で治療を行った再燃前立腺癌31人(年齢中央値69歳)を対象とした。同大ではドセタキセル70mg/m2/3週+プレドニゾロン(PSL)5mg×2/日を1コースとし、4〜6コースより顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を予防投与して外来治療に移行している。

 同大の成績は、サイクル中央値は9、前立腺特異抗原(PSA)効果は58.1%、総合効果は51.6%であった。無増悪期間(TTP)中央値は7.0カ月、全生存期間(OS)中央値は22.0カ月、無増悪生存期間(PFS)は7.0カ月であった。グレード3以上の有害事象として、白血球減少が77.4%と最も多く、末梢神経障害29.0%、間質性肺炎3.2%なども認めた。白血球減少の持続は比較的短期間であったが、間質性肺炎は3コース終了後に発熱・呼吸困難・低酸素血症が出現し発症した。

 国内報告の集計は、2008年秋までの学会抄録からの33報告(30施設)から、治療方法別に症例数、PSA奏効率、TTP、有害事象を集計し、統計学的に検討した。

 同集計で治療法別の報告数/症例数は、ドセタキセルとカルボプラチン併用(DC)群2/31、ドセタキセルとEMPとカルボプラチンの併用(D+EMP+C)群4/94、ドセタキセルとEMP併用(D+EMP)群11/297、1コース50mg/m2未満の低用量投与(D-low)群3/54、3週毎投与(D-q3w)群11/178、毎週投与(D-wkly)群2/24であった。D+EMP群、D-low群、D-q3w群についてPSA奏効率をみると、それぞれ49.7%、36.1%、51.1%であった。TTPはそれぞれ5.42カ月、3.43カ月、6.56カ月、有害事象として白血球減少はそれぞれ25.0%、5.0%、54.8%であった。

 同集計で治療法全体でのPSA効果はD+EMP+C群が有意に他の群より高く、低用量群は低い傾向がみられた。TTPについてもD+EMP+C群が有意に他の群より長く、D-q3w群とD-low群ではD-q3w群が長かった。PSA奏効率とTTPは治療法に依存せずに相関傾向が認められた。またEMP併用についてはP糖蛋白(MDR-1)の作用により相乗効果が期待できるものの、副作用の増強として消化器、心血管毒性に注意が必要と考えられた。
 
 島居氏は「ドセタキセルの投与量および投与方法が効果やTTP、有害事象に関係する可能性が示唆され、今後も検討が必要」と話した。