サイトカイン療法が無効となった転移性腎細胞癌に対し、胃癌の標準治療として使用されているS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤)が有効である可能性が、後期フェーズ2試験で明らかになった。北海道大学腎泌尿器外科の篠原信雄氏らが、4月16日〜19日に岡山市で開催された第97回日本泌尿器科学会総会で発表した。

 対象は、淡明細胞癌と乳頭状腎細胞癌で、腎摘出術後のインターロイキン2(IL-2)やインターフェロンα(IFN-α)によるサイトカイン療法が無効または不適当と判断された19施設45人。

 実際にはサイトカイン療法を受けた患者が45人中42人と大半を占めた。また、サイトカイン療法以外の治療も受けた12人のうち、ソラフェニブとスニチニブがそれぞれ3人、UFTが5人、サリドマイドが1人だった。

 S-1は28日間連続投与、14日間休薬を1コースとし、投与量は体表面積に合わせて、1日2回40〜60mg/回を投与した。その結果、2コース継続した患者は39人、3コースは33人、4コースは 30人で、24人は5コース以降も継続したという。投与の中止理由としては、病態悪化が14人、有害事象が7人だった。

 4コース終了時において、腎癌取り扱い規約に基づく効果判定は、CRは0人、PRが11人(24.4%)、NCが30人(66.7%)であり、RECISTでもCRは0人、PRは11人(24.4%)、NCが28人(62.2%)だった。

 無増悪生存期間(PFS)中央値は9.2カ月だったことから、「S-1治療は病勢コントロールに寄与する」と篠原氏は話した。また追跡期間中央値20.9カ月における1年生存率は84.1%、2年生存率は66.9%だった。

 S-1との因果関係が否定できない主な有害事象は、グレード3/4の好中球減少が4人、赤血球減少が3人、血糖値上昇が3人で、食欲不振が4人、口内炎、下痢、倦怠感がそれぞれ2人だった。

 S-1の適正使用基準ではクレアチニン値が1.5mg/dL以下とされている。腎摘出術後の転移性腎細胞癌患者ではこの基準を超えることもあり、S-1治療ができる患者は限られてしまう面がある。その一方で、今回の試験では前治療に分子標的薬を使用した6人のうち4人でPRが認められていた。

 このため篠原氏は、「分子標的薬による治療後は、海外ではmTOR阻害薬が使われるが、S-1も使用できる可能性がある。武器は多いほうがいい」と話した。