東邦大学泌尿器科の原啓氏は、「膀胱癌は、前立腺癌腎癌に比べ、腫瘍マーカーや検診制度などといった早期発見を目指す取り組みが遅れている」と第97回日本泌尿器科学会総会で指摘、受診動機として一般的な患者の目でも分かる血尿に注目し、より早期の病院受診を促すにはどうすればよいか、検討した結果を報告した。

 対象は、2004年から2007年に東邦大学泌尿器科を受診した初発原発性膀胱癌患者129人。受診動機は、血尿が最も多く、93人(72.1%)、次いで頻尿11人(8.5%)。エコーやCTによって偶然発見されたという患者10人(7.8%)だった。

 原氏らは、1971年から1990年に同大学泌尿器科を受診した患者259人を対象に、同様の調査を以前行っており、その結果と比較したところ、以前は血尿の割合がより高く、86.1%、次いで頻尿4.6%、排尿時痛3.9%などだった。「他の癌検診などで偶然発見される患者が増加している傾向がみられた」と原氏。

 最初に血尿が見られてから受診までの期間をみると、1カ月以内は58.1%であり、1〜3カ月が18.3%、1年以内が12.9%、1年以上たってからという患者も10.8%だった。さらに、受診までの期間と癌の深達度(ステージ)との関連をみたところ、Ta、T1といった表在性膀胱癌だった割合は、1カ月以内の受診の場合には81.4%だったのに対し、1年以上たってから受診していた患者では、表在性癌の割合は50.0%まで明らかに低下した。

 原氏は、「早期に病院を受診すれば、より早期の癌を発見でき、完治に至る可能性も高くなる。早く病院を受診したくても多忙で受診できないという患者もいると予想されるが、地道な情報提供による啓発を続けていきたい。また、血尿が見られた場合、どの程度の割合で膀胱癌になるかも今後検討したい」とした。