前立腺癌に対する放射線療法の一つである、高線量率組織内照射HDR-BT)治療は、高リスクの限局性前立腺癌において安全で有用であることが確認された。川崎医科大学泌尿器科と放射線科のグループがまとめた治療成績によるもので、4月16日〜19日に岡山市で開催された第97回日本泌尿器科学会総会で発表された。

 HDR-BTは前立腺にイリジウム線源を通すアプリケーター針を刺して、集中的に放射線を照射する組織内照射法。以前は施術に2日間を要していたが、川崎医科大学などでは現在は6時間に短縮しているという。

 対象は、限局性前立腺癌の高リスク群で、初回治療として外照射とHDR-BT治療を併用し、3年以上の経過観察が可能だった152人。高リスク群は、T3以上、もしくはグリーソンスコア8以上、もしくはPSA値20ng/mL以上とした。年齢中央値は70歳(48〜82歳)、観察期間中央値は4.4年(3〜11年)だった。

 高リスク群全体の5年PSA非再発生存率は82%だった。高リスク群を治療前のPSA値で分けたところ、10ng/mL未満では91%、10 ng/mL以上20ng/mL未満では84%、20ng/mL以上では78%と、PSA値が5年PSA非再発生存率に影響することが示された。

 グレード3以上の治療関連有害事象はなく、晩期の有害事象としてグレード2の尿道狭窄が15%に認められた。この尿道狭窄は前立腺の浮腫を原因とするもので、泌尿器科の常義政氏によれば、施術時間が短縮された現在ではほとんど見られなくなっているという。

 また放射線科の平塚純一氏は、「HDR-BTの今後は、高リスク例をどれだけ治せるかにかかっていると思う」とし、「低リスク例に対しては、低線量率線源のLDR-BTだけで十分で、患者さんの負担も少ない」とも話した。