前立腺癌内分泌療法を行うと、骨量減少が生じることが明らかになっている。しかし、その変化は個人差が大きいとされ、詳しいことはわかっていない。そこで、患者の骨密度を治療前と1年後に測定し、部位別の骨量変化を調べたところ、大腿骨頸部の骨密度が最も大きく低下していた。昭和大学泌尿器科学の深貝隆志氏が、第97回日本泌尿器科学会総会で発表した。

 対象は、2003年7月から2008年12月の間に昭和大学病院で前立腺癌と診断され、骨転移を認めず、内分泌療法を行って1年以上経過観察が可能だった46人(平均76歳)。

 内分泌療法開始前と治療開始1年後に腰椎、大腿骨頸部、股関節、橈骨遠位端の4カ所の骨密度を測定し、骨密度の変化率を算出した。また、年齢や身長、体重、骨吸収マーカー(NTX)、骨形成マーカー(BAP)などと骨密度の変化率との関連を検討した。

 骨密度の変化は、腰椎3.4%低下、大腿骨頸部5.3%低下、股関節1.5%低下、橈骨遠位端3.0%低下と、大腿骨頸部の骨密度が最も大きく低下していた。また、大腿骨頸部の骨密度変化率と、治療開始前の体重、NTX、BAPは明らかな相関を示した。

 深貝氏は、「骨密度の変化には、ほかにも多くの要因が関与していると考えられるが、全身の骨密度の低下と大腿骨頸部の骨密度の低下にはある程度の相関があった。前立腺癌の患者では、腰椎に加え、大腿骨頸部の骨密度も積極的に評価すべきではないか」と話した。