進行性尿路上皮癌に対する低濃度抗癌剤併用の局所ハイパーサーミアは、副作用が少なく、治療効果に優れた方法と考えられる。4月16〜19日に岡山市で開催された第97回日本泌尿器科学会総会の一般口演で、名古屋前立腺センターの上田公介氏が発表した。

 進行性尿路上皮癌は対象患者に高齢者が多く、また術後再発や放射線治療後の再発が多いため、治療に難渋する場合が多い。上田氏らは、このような患者に副作用の少ない低濃度抗癌剤併用局所ハイパーサーミアを行っている。

 ハイパーサーミアは患部を30cmほどの電極ではさみ、高周波を流す癌の温熱治療である。腫瘍部分は43℃以上に上昇して直接的に熱が作用し、正常組織は約40℃に上昇してマイルドハイパーサーミアの効果によりヒートショックプロテインが産生されるなど、温熱免疫の作用を発揮するとされる。

 検討の対象としたのは、進行性尿路上皮癌患者5人(63〜83歳、男性4人、女性1人)で、4人は膀胱癌、1人は腎盂癌であった。1人を除き、いずれも前治療として、他院で放射線療法や部分切除などの治療を行っている。

 これらの症例に対して上田氏らは、抗癌剤としてシスプラチン2.5〜10mg、マイトマイシン1mg、ゲムシタビン200mgなどを生食水500mLにそれぞれ溶解し、ハイパーサーミア施行前に静脈内に点滴投与した。ハイパーサーミアは、プロス8を用いて下腹部や腎部を中心に30〜50分間加温した。

 ハイパーサーミアを24〜99回施行した結果、完全奏効(CR)3人、不変1人、部分奏効(PR)1人という結果が得られた。

 CRの75歳の男性はCTで肺転移も消失した。治療を継続していたが、自宅で転倒し、肺炎を併発して死亡した。

 最も高齢であった83歳の女性は、同センターの関連病院からの紹介で受診した時には、ステージはすでにT4N2M1であった。前治療歴はなかった。左腎上極に低エコー領域があり、経静脈性腎盂造影(IVP)でも左上腎杯像が描出されず、CTで腎盂内から腎門部・傍大動脈リンパ節と一塊になった腫瘍が認められた。骨転移はなかった。

 全身状態改善のため、まずリンフォカイン活性キラー細胞(LAK)療法を行い、ハイパーサーミアを施行したが、改善はみられなかった。患者の了解を得てシスプラチン5mgを投与したところ、体調不良の訴えがあり2.5mgに減量した。

 ハイパーサーミアとの併用療法を計12回施行したところ、CTで腫瘍の縮小を認め、全身状態も良好となった。ハイパーサーミアを行っていない鎖骨上リンパ節も縮小した。これは温熱免疫の作用で遠隔転移が縮小・消失する現象である可能性が考えられた。本例は最終的には老衰によると考えられる死亡となった。

 上田氏は「今後は、ハイパーサーミアとの併用が可能で、いっそう効果の増強が得られる抗癌剤が望まれる」と話した。