前立腺癌前立腺全摘除術を施行した後の性機能回復に、PDE阻害薬(PDE5i)の術後早期投与が有効である可能性が示された。成果は、4月16〜19日に岡山市で開催されている第97回日本泌尿器科学会総会の一般口演で、東北大学医学部泌尿器科の海法康裕氏が発表した。

 前立腺全摘除術を行う場合、術後の性機能温存のため、両側神経温存手術が一般的に行われている。しかし同大のデータでは、術後の性機能が90%以上に回復する患者は50〜60%前後にとどまる。

 そこで、前立腺全摘後の勃起障害(ED)に対する性機能リハビリテーションとして、PDE5iが注目されている。最近では、PDE5iによる血管内皮保護や海綿体平滑筋保護の点からも、推奨されるようになってきた。

 海法氏らは、2003年1月〜2008年7月までに、同大で前立腺癌による前立腺全摘術を受けた291人を対象とした。患者の半数近くがPDE5iの内服を希望し、PDE5i内服群135人と非内服群156人となった。性機能回復を比較した。評価方法にはExpanded Prostate Cancer Index Composite(EPCI)のSFスコアを用い、術前、術後3、6、12、18、24、36カ月の時点で評価した。

 同大で処方されたPDE5iの内訳は、2003年にはシルデナフィルのみだったが、バルデナフィルとタダラフィルが登場したことにより、2007年にはシルデナフィルとバルデナフィルがほぼ半数ずつ、2008年にはタダラフィルが半数以上を占めるようになった。タダラフィルは半減期の長さから、保護の意味で多く処方されている。手術から投薬までの期間は1日〜3年で、中央値は3カ月だった。

 291人から両側神経温存手術を行った患者に絞り、PDE5i内服群68人と非内服群59人のEPICスコアを比較した。その結果、内服群では術前の40から術後1桁台に低下するものの、経時的に上昇し、術後36カ月には30まで回復した。これに対し、非内服群は術前の30から術後1桁台に低下し、術後36カ月で10を超える程度までの上昇となった。

 さらに内服群68人について、3カ月以内の早期投与群38人と3カ月後投与群30人で比較すると、早期投与群で回復が早い傾向がみられた。

 このような結果から海法氏らは、タダラフィルを手術翌日から内服開始し、初めの1カ月は2回/週、その後は1回/週での内服を勧めている。余裕があれば術前に1回内服してもらい、副作用がないことを確認している。

 海法氏は、「PDE5iは前立腺全摘除後の性機能回復のリハビリテーションとして有効であり、早期投与がより有効であると考えられる」と話した。