PSAを用いた前立腺癌スクリーニングに関する相反する結果を示した2つの研究がNew England Journal of Medicine誌(3月26日)に掲載され、それをきっかけにPSA検診の有用性の議論が再燃している。日本泌尿器学会は、各研究の評価について学会の見解を4月9日付でホームページ上に掲載した。4月16〜19日に岡山市で開催されている第97回日本泌尿器科学会総会の特別講演で、群馬大学大学院泌尿器科学の伊藤一人氏は、学会の見解を解説し、昨年改訂されたばかりの同学会「前立腺がん検診ガイドライン」の追補版を今年度発行する予定であることを明らかにした。

 ガイドライン追補版には、2研究に関する学会の見解と今後の前立腺癌検診の方向性が明記される。

 問題の2研究は、欧州で行われたERSPC研究と米国で行われたPLCO研究。ERSPC研究ではPSAによるスクリーニングで前立腺癌死亡率が20%減少と報告された。一方のPLCO研究では、死亡率減少効果は認められないとしている。しかし、日本泌尿器学会は、登録の段階ですでにコントロール群の44%が過去3年間にPSA検査を受けていた点を指摘し、PLCO研究は無作為化比較対照試験として破綻しているとした。

 ただし、PLCO研究において、過去3年間のPSA検査の有無によって分け、コホート内症例対照研究(Nested case control study)を行えば、オッズ比にして13.7と、PSA検診の有用性が示せると、伊藤氏は提案する。それについてNew England Journal of Medicine誌にletterを送ったところだと話した。

 PSA検診の有用性に関して異なる見解を示している厚生労働省研究班(濱島班)も、これらの結果をもとに、PSA検診の再検討を開始した旨をホームページ上で明らかにしている。この再検討によって、PSA検診の推奨グレードが上がる可能性があるようだ。