腫瘍径1.0cm以下で限局型の早期乳癌患者を対象に、高度医療評価制度のもとで現在進行中のラジオ波焼灼療法(RFA)の多施設共同研究で、これまでの39例の再発率は約10%だったことが報告された。試験責任者の国立がん研究センター中央病院乳腺外科の木下貴之氏は、今度さらに症例を集積し、保険収載を目指したいと強調した。4月12日から千葉県幕張で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で発表した。

 非切除治療の1つであるRFAは、現時点で早期乳癌に対するエビデンスが十分にないため、日本乳癌学会の乳癌診療ガイドライン治療編2011年版では推奨グレードC2(実践することは基本的には勧められない)にとどまる。

 同科では、2005年12月から乳癌患者へのRFAの臨床試験を開始している。その後、2007年にRFAが高度医療として承認されたことを受け、全国6施設で第1相試験を実施した。2009年4月からは、腫瘍径1.0cm以下の早期乳癌患者を対象に「非切除術」としてのRFAの安全性と有効性を検証する第2相臨床試験を開始している。

 対象は、前治療なしで、USとMRIによる判定で腫瘍径1.0cm以下、限局性、腋窩リンパ節転移・遠隔転移なし、DCISも含んだN0早期乳癌患者。RFA治療後は、乳房照射と術後薬物療法を行った上で、術後12カ月間経過観察する。USとMRIによる画像診断と針生検での効果判定のほか、有害事象、整容性の評価も行う。予定登録数は40例。

 すでに同科では13例を実施しており、「1年間の経過観察の結果、再発し切除に至った1例以外は無事に経過している」と説明する。観察期間中に、病理学的所見で凝固壊死や肉芽腫、線維化などが経時的に見られた。乳房整容性については、「1年経つと大半の患者で(RFA治療による影響が)ほとんど分からなくなっており、整容性の高い治療といえる」と述べた。

 さらに2011年度からは、高度医療のもとで、RFAの多施設共同研究を継続している。同科でのデータを含め、全国8施設で39例実施しており、うち4例(10.3%)が再発例(不完全焼灼)だった。

 木下氏は、「今後はさらに症例数を増やしたい。さらに、患者選択基準を腫瘍径1.5cm以下に変更して高度医療を行い、薬事申請まで持って行きたい」と語った。

 同日には、乳癌低侵襲治療研究会の谷野裕一氏が、10施設におけるラジオ波焼灼療法(RFA)のレトロスペクティブな研究結果を紹介した上で、RFAを実施するためには、多施設が協力して厳格な基準を作ることが不可欠で、T1N0限局例を対象にした多施設臨床試験を開始することが必要と強調した。

 この解析は、RFAを実施した非切除の原発乳癌患者全例、519例を対象にしたもの。3年以上観察した症例では、腫瘍径2.1cm以上の症例の乳房内再発率は、腫瘍径2.0cm以下の症例と比べ、有意に高かった(p<0.001)ことが示されている。

 10施設のうち、2施設での実施件数が多く(それぞれ229件、150例)、T2以上の症例が2〜3割だったほか、放射線治療未実施が3割を占めており、RFA実施基準が緩い傾向が確認されたと指摘した。

 谷野氏は(RFA実施後に)乳房内再発した患者のうち、T1症例が10例、T2以上が14例存在したことに触れ、「厳格な基準で試験を行えば、無駄な再発を出さずに良好な結果が得られていた」と指摘。T1N0のうち、限局した症例ではRFAは安全かもしれないと述べ、T1N0限局症例での臨床試験が必要であると述べた。