乳癌センチネルリンパ節生検に関する国内多施設共同臨床確認試験の追加病理調査の結果から、pN1微小転移例の40%、pN1症例の12%で腋窩リンパ節郭清が省略されている実態が報告された。センチネルリンパ節陽性例のうち腋窩リンパ節郭清を省略可能とされる条件に合致した患者群(Z11適格例)における非センチネルリンパ節転移陽性率は26%だった。聖マリアンナ医科大学乳腺・内分泌外科の津川浩一郎氏が、4月12日から千葉県千葉市で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で発表した。

 日本乳癌学会の診療ガイドラインでは、センチネルリンパ節生検で陰性であれば、腋窩リンパ節郭清を省略することが推奨されている。一方、センチネルリンパ節生検陽性例では、腋窩リンパ節郭清が勧められているが、患者ごとに郭清省略の可能性が検討されるべきと記載されている。

 昨年には、センチネルリンパ節生検陽性例を対象にしたランダム化比較試験「ACOSOG Z-0011」が報告され、腋窩リンパ節郭清群と郭清省略群の全生存率に有意差はなかったことが示された。この結果を受け、NCCNはガイドラインを改定しており、センチネルリンパ節生検陽性例であっても非郭清適格基準(以下、Z11適格:T2N0以下、HE染色による病理検索でSLN転移個数2個以下、照射を伴う温存手術、術後薬物療法を実施)に合致すれば、腋窩リンパ節郭清を省略することを推奨している。

 そこで、津川氏は、国内81施設11489例が登録された「乳癌センチネルリンパ節生検に関する多施設共同臨床確認試験(JPSNB)」の追加病理調査をもとに、日本においてもセンチネルリンパ節転移陽性例で腋窩リンパ節郭清を省略できるかについて検討した。

 術前薬物療法を施行していなかった7418例のうちセンチネルリンパ節転移陽性例は1283例(17.3%)だった。うち、腋窩リンパ節郭清した症例は83.9%(1077例)を占めた。
 
 pN1微小転移例の40%、pN1症例の12%で腋窩リンパ節郭清が省略されていた。

 リンパ節転移状況別について詳しく見ると、pN0(i+)136例のうち、37例で腋窩リンパ節郭清していたが、全例でリンパ節への転移は認められなかった。pN1微小転移例で腋窩リンパ節郭清した129例中、リンパ節転移があったのは13例だった。pN1症例で腋窩リンパ節郭清を行った884例のうち、274例でリンパ節転移が認められた。

 また、腋窩リンパ節郭清を実施した症例におけるZ11適格例の割合は、pN1微小転移症例の65%、pN1症例の55%を占めた。

 今回の調査結果で、Z11適格例における非センチネルリンパ節転移陽性率は26%となり、「ACOSOG Z-0011」試験の結果に類似していると指摘した上で、「日本でもセンチネルリンパ節転移陽性例に対する腋窩リンパ節郭清省略の準備は整いつつあると考えられる」と津川氏は語った。